一条家!
□入学式(就任初日)
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泰助の部屋の戸をコンコンとノックする夜月。
「たぁくん起きてるー?」
「起きてる。」
「ご飯食べれそうなら下におりておいで。トラちゃんが待ってる。」
「はいはい。」
ガチャリと戸を開けて欠伸しながら出てくる『たぁくん』こと泰助。
「おはよう。」
「ん…。トラは下にいるって?」
「うん、出来たらそらくん起こしてきて欲しいんだけど…。」
「やだ。」
「ですよねー。」
階段を降りて行く泰助を見送り次の部屋へ。
ちなみに、夜月の部屋の隣が泰助の部屋で、その隣の部屋が泰助の双子の姉トラの部屋、夜月の部屋の向かいの部屋が次女の紫音の部屋、その隣が次男そら、更にその隣が末っ子の桜也の部屋となっている。
「はい紫音ちゃん起きてー!」
「ううん…あと5分…。」
「待たない!」
「ちょ、布団返せおかーさんまじうんこ!」
「……女の子としてそれはどうなの。」
「……ごめん?」
「起きたんならさっさと顔洗っておいで。ご飯出来てるよ。」
「ごっはーん!!!」
一気に元気を取り戻し階下へ向かう紫音。
「あ、そらくん起こしてって言いそびれた…。結局全員私が起こさなきゃいけないのか。」
独り言をつぶやきつつ隣の部屋へ。
ノックする。
「そらくんそらくん、起きて…ないだろうなぁ…。」
返事がないことを確かめ部屋に入りそらの身体を軽く揺する。
「そらくーん、起きてー。遅刻するよ?学校初日から遅刻しちゃうよ?」
揺らされたせいかそれともその言葉によるものか。目を開き夜月を見るそら。
「……俺今日腹痛で休みとか…。」
「ダメ。」
「チッ…。」
のそのそと起き上がるそらを見届け最後の部屋、末っ子桜也の元へ。
「桜也ー!!!起っきてー!!
あと5秒で起きなきゃ手がすべる!」
「起きる!!起きるからその手に持ってる包丁を下ろして!?なんで朝から俺殺されそうになってんの?母さん酷くね!?」
「いや、桜也だからいけるかな、と。」
「何がいけるの?!いくら俺でも死ぬよ!?」
「え…。」
「何その衝撃を受けたかのような顔!当たり前だよね!?」
「あ、さっさと下に降りて来なかったら弁当と朝ごはん抜きね。」
「話を聞けぇぇえ!!」
にこやかに言い捨て部屋をさる夜月。
部屋に取り残された桜也は額に手を当て大きくため息を吐いた。
「朝からなんで俺こんなに叫んでるんだろ…。」
全くもってその通りである。