QUARTET★NIGHT(小説)
□深層心理3
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3時限目は性格心理学≠ゥ…………。
私が通っている大学は早乙女大学。
2時限目を終えて、昼食をとるために大学の食堂にきていた。
あの少年に会ってから1週間が経った。
もう一度、どこかで会えないかな。
。。。。
1つの授業に90分は大変。
高校の時は50分だったのに。
そんな風に思いながらトレーに乗ったパンを運んでいた。
さぁ、どこに座ろうかな。
私はキョロキョロと辺りを見渡した。
昼食の時間はほとんどの学生が食堂に集まっているため、どうしても席を探すのに苦労してしまう。
……あれ?
あそこに座っている人はもしかして。
あの水色の髪。
澄んだ瞳。
相変わらず読み取ることが出来ないその色。
あの人だっ!
私はトレーに乗せた水を溢さないように、人であふれている食堂を必死でかき分けて少年に近づいた。
しかも彼の隣の席が空いている!
ようやくたどり着き、少年の隣の席を確保し腰を下ろすとようやく声をかけられた。
「あの! この間、私の絵を褒めてくださった方ですよね」
「……あ、キミこの間の」
「ここの大学の人だったんですね」
私は自分の表情筋が緩むのを感じた。
「あの、あなたの絵を……」
「描かせて下さいでしょ? ダメだよ」
「なんでですか?」
「なんでも」
そう言うとその少年は席を立ち、もう何も乗っていない皿を片付けるようだった。
「あっ、待ってください」
ようやく確保できた席を離れるのは名残惜しいが、彼を追うために私もトレーを持って席を立った
私はトレーに乗せていたコップを一気に飲みほし、パンをカバンに押し込んで、トレーを返却口に置くと少年の後を追いかけた。
「しつこいね、キミ」
「私、あなたの事を知りたいんです。あなたを描きたいんです」
「描きたいってボクの外見だけに引かれたってことでしょ」
「違いますよ!」
私に話しかけながらもこちらを振り向かずにスタスタと歩く少年。
身長の分だけ歩幅の大きさも違うから追いかけるのが大変だ。
足が縺れそうな勢いだ。
「ボクこの後、講義が入ってるんだよ。キミも入ってるんでしょ? 早く行きなよ」
「あっ、じゃあせめて学部と名前、教えてください」
「…………音楽学部2年、美風藍だよ」
「私は心理学部2年の武藤シオンです。よろしくお願いしますっ」
私は小さく笑い踵を返して、美風と名乗った少年から離れていった。
後ろで彼が何かつぶやいていた気がした。
「なんなの、あれ……」
変わってる人。
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