QUARTET★NIGHT(小説)
□事情聴取3
1ページ/1ページ
17:30 早乙女スタジアム前
30分早めに来ておいたけどすごい混みようだよ。
なんとかナイト≠ニスターうんちゃら≠チてそんなに人気があるんだ……。
スタッフさんにチケットを渡し、ゲートをくぐると、スタジアムの中は自分と同じ年代の人でいっぱい。
あと10分で始まるなぁ。
黒崎さんは来てないみたいだし。
なんで知らないユニットのライブに来てるんだろう。
なんて思いながらアイドル達が出てくるのを待っていた。
『ねぇねぇ!! 早く始まらないかな!』
『早く蘭丸に会いたいね!』
『あたし! 蘭丸も好きだけどレン様もサイコ―に好きっ!!』
ちょうど隣にいた女性2人の話し声が聞こえた。
蘭丸…………?
レン様…………?
なんか最近聞いたような名前。
どこで聞いたんだっけ?
「あ、あの……」
『? はい』
私は隣にいる女性に声をかけその蘭丸とレン様ってどんな人ですか?≠ニ聞いてみた。
『えっ!! 知らないの!? QUARTET★NIGHTとST☆RISHのメンバーの1人なのよ』
『レン様は神宮寺財閥の三男坊なの。情熱的でセクシーな感じ!』
『蘭丸は情熱的でロックな感じ! あっ、始まるわよ!』
ロック?
ロックって……。
キャアアアァァァァッ!!!
アイドルの登場に一気に盛り上がりを見せる。
そこに現れたのは…………。
「盛り上がってっかー!!!」
「レディ達、今日は楽しんでいってね」
…………えぇっー!!
う、うそ!?
蘭丸ってあの黒崎さん!?
そ、それにこの間、黒崎さんを迎えに来たレンさんって人も!!
あの人達、アイドルだったの?!
……アイドルが5回も補導されてるって。
事務所的に大丈夫なの?
そんなことを考えつつも、黒崎さんの声がダイレクトで耳に届くような気分だった。
いつも交番で見ている黒崎さんとは違う。
キラキラしている黒崎さん。
ロックな歌の中に甘い声。
こんなに感動する歌、初めて聞いた。
その歌はまるで想い人に宛てたような歌だった。
ライブも終わり、私は女性の波に押されながらスタジアムを後にしていた。
黒崎さん、かっこよかったなぁ。
気持ちを押し付けないって決めたのに余計好きになっちゃったよ。
あっ、黒崎さんに挨拶していった方が良いかな?
警察手帳を見せて不審者がこの中に入っていきました。調べさせてください≠ニか言えば入れてくれるけど…………。
職権乱用はしません。
まぁ、しばらくすればまた補導されて交番に来るだろうし。
その時でいいかな?
早く補導されないかな。
今回ばかりはそう思ってしまった。
.