金色コルダ2〜3

□あなたの周辺2
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<日野香穂子>





「なんなのよ一体!」


朝から変な…妖精とか言ってたけど、いや、違う!
私は見てない!
疲れてただけよ!


必死で思い込んだせいで、いつもなら友達と話すのが楽しくて、ヴァイオリンロマンスだとか、三年ぶりに鳴った森の広場にある鐘とかの話で盛り上がるはずだったのに!




なのに!!


『えー、普通科二年、日野香穂子。』


なんで私が学内コンクールに選ばれるわけ!?


急いで金澤先生のところに行った。


「失礼します!金澤先生っ!」


金澤先生の隣には音楽科の綺麗な女の子がいて、何処かでみたこあるような感じがした。


私の事をしっているのだろうか?

私を見た途端、目を丸くして驚いていた。


「お!来たか。」

「先生!放送のことなんですけど!間違えてませんか?」


「いや、間違えてないぞ。だってお前さんあれを見たんだろ?」


「あれって…!」


今朝見た、あの銅像に酷似した、妖精と呼ぶべきなのかわからないが、あの変な存在を思い出した。


「先生も見たことがあるんですか!?」


「いや、全くないな。…そういえば、お前さんはどうなんだ?」


金澤先生が隣の女の子に話しかけた。


「1/4の血は入っているみたいですけど、一度も見たことはありませんよ。」


「そうか。…俺も校長から話を聞いただけで詳しくは知らないんだが、あいつから伝言だ。」


伝言内容を聞いても混乱したまま、知らない音楽科の生徒が入って来た。



「金やん!俺コンクールに選ばれたよ!」


人懐こい笑顔を浮かべる音楽科の生徒が嬉しそうに部屋に入って来た。



「おう、火原に柚木か。」


「先生がコンクールの担当だとお聞きしたので挨拶に来ました。」


後ろから、知らない人ではなく、普通科の私でさえ知っている長髪の美しい笑みを浮かべた生徒が、丁寧な物腰で先生に挨拶する。



「あ!もしかして君が普通科からの参加者!?俺火原和樹って言うんだ!宜しくね!」


急に私の両手を掴んでぶんぶんと降る。


「高橋さんもコンクールに参加するんだよね?」


「ええ。お手柔らかに。」

高橋さんと呼ばれた方がにっこりと微笑む。



「火原、そろそろ手を離してあげたらどうだい?」

「うわあ!ごめんね!」


「い、いえ。大丈夫です。」

「僕の名前は柚木。宜しくね。」


品行方正という言葉が似合う彼に、「ひ、日野香穂子です。」と緊張しながら答えると、「ところで日野さんはなんの楽器で参加するのかな?」と聞かれた。


「あ、それ俺も気になる!それに、高橋さんと三年になってからクラス離れちゃったけど、高橋さんも何の楽器なのか知りたいなー。」


「秘密にしとくわ。」

柚木先輩の隣に立っていてもおかしくはない高橋先輩は、そう優雅に切り返すと、私の方を見て「それより普通科の子の方が気にならない?」と言った。



私はなにも弾けないのに!

金澤先生に目で助けを求めるが、何もしてくれそうに無い。


私はなんとかあやふやに誤魔化してから、「失礼します!」と叫んでその場から離れた。


ほんとっ!

一体なんなの!?
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