サマーウォーズ
□第六章 手紙1
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侘助と理一が家を出て行った事に気付いた私は、理一の部屋で泣いていた。
最後くらい、ちゃんとお別れをしたかったのに。
私は、ちゃぶ台の上に一枚の紙が置いてある事に気付いた。
理一からの手紙だった。
『最後見送られるのは恥ずかしいから起こさなかったよ
ごめんね
行ってきます
待っててね
すぐに手紙を出すよ
リュックの裏地を見てみたら?
またね
陣内理一』
私の涙は治まった。
すぐにリュックをひっくり返して覗きこむが何もない。
私は、裏地だからもう一枚布の下って事に気付いたが、ここでハサミで切り出したらリュックがボロボロになって、侘助から貰った教材が入らないと考えた。
私は万里子おばさんと、万作おじさんに帰ると伝えて、陣内家を出た。
まっすぐ家に帰り、事情をおばあちゃんに説明すると、私よりうまくリュックの裏地を切ってくれた。
もう、リュックは私のかたには合わなくなってきたし、色もダメになってしまった。
誕生日の時に装飾してくれた理香姉と理一には悪いが、もう、装飾もボロボロだった。
おばあちゃんによって剥がされていく。
すると、裏地にはおばあちゃんが縫ってはいない白い布が貼り付けてあった。
白い布の上には黒い糸で文字が書かれていた。
『いつまでも あかるく げんきで いつもみてる
りいち』
「よかったね。」
おばあちゃんにそう言われて、私はその白い布をおばあちゃんに新しいリュックを作ってもらうときに、また縫ってもらった。
青と黒と緑のおしゃれなリュックになった。
私がお願いして作ってもらったのだ。
これで、ずっと二人で一緒だ。
私は強い味方ができた気分だった。
一週間後、役所の人が家に来た。
私は二か月後にちゃんと行くといった。
理由は、この二年間同世代の子達と話したことがないので、心の準備がいる。
それに、ランドルセルから教材まで何も準備していない。
一年生、二年生の勉強していないので、その間に勉強がしたいと。
そういっても、役所は引き下がらなかったので、栄ちゃんに電話して、説き伏せてもらった。
二か月後。
私は一時間かけて小学校に向かった。
おばあちゃんと一緒に来た。
一人じゃ心細かった。
私は学校の教壇に立ち、自分の名前をわざとひらがなで書いた。
漢字で書いたら、もしかして引かれるんじゃないかと思った。
でも、みな優しかった。
すぐ友達になった。
私はすぐに遊んだ。
でも、一時間かけて帰るのだから放課後は遅くまでのこれなかった。
ここで暮らしも悪くないと思った。
でも、すぐに壊れてしまった。
きっかけは、同じクラスの子が一学年上の男子にいたずらされて、泣かされていたのだ。
私はすぐその子に駆け寄った。
その男子らと口げんかになり、「自分の名前の漢字も書けないくせにいきがるんじゃねえ!」
と言われ、私は驚いてしまった。
私の今までわざとテストの問題を間違えて平均をとれるように毎回60点を取っていたのは間違いだったみたいだ。
私は個々の学校の生徒たちより一番頭が良い自信があった。
今、侘助からもらった中学生の内容を解いているのだ。
私はショックを受けた。
そして、学校生活では満点を取っていいのだと思い、一年に一回ある、学力状況調査でバカをしてしまった。
私は一位を取ってしまったのだ。
これは喜ぶべきことだと思うが、みなから「なぜ、今までの成績が悪かったのか?」「もしかして、わざと手を抜いていたのか。」ときつく問い詰められた。
私は本当のことを言ったが、皆信じてもらえなかった。
私が関東から来たことで、此処の子たちをバカにしている。
そう、勘違いされてしまった。
私は侘助と理一に手紙を送り続けた。
こちらは楽しいよ。
とか、うそをついた。
私に友達はいなくなった。
なぜだろう。
ただ、仲良くしたかっただけなのに。
私は不登校に陥った。