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□言葉足らず
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俺たちは血液だ

脳が正常に働くための







言葉足らず




俺……バレーできない………

そんなことを言い始めたのは
研磨だった
最近不調だった研磨
研磨の不調が始まったのは

対 烏野の練習試合



)研磨!待てって!

部活帰りに、研磨に出会った
練習休んでたくせに何してんだ

)……!クロ…

気だるげに振り返る研磨
また少し痩せたのか

)おい研磨。また練習休んで
何してんだよ

)……クロには関係ない

)んなわけあるか!!俺たちは血液だっていつも言ってんだろうが!お前が脳だろ?お前がいなくてどうすんだよ

)…ごめん…

少しキツく言い過ぎたかもしれない。研磨が余計に俯いてしまった

)ねぇクロ。月島のことどう思う

月島?いきなり出てきた名前に驚く。烏野の月島蛍だろ?

)どう思うって…別に特別な感情はないけど。まぁ発展途上すぎて助けてやりたくなるかな。俺よりでかいくせに細すぎるし。抱きついたってこっちが痛え

)抱きついたって……
発展途上だから最近よく一緒にいるの?

)そう。もどかしいんだよあいつ
あの澄ました顔がむかつくし
……!っておい!研磨!
人の話最後まで聞けよ!

急に走り出してしまった研磨
んだよ追いかけるのもだるいし
知らねー
なに 月島と俺が仲良くしてるのが気に入らないのか?え。あいつ俺のこと好きなの?なんつてな


それから研磨は学校で
俺といることがめっきり減った
時々通る、研磨のクラス前
見たこともない笑顔で話をする研磨がいた

ざわっ

俺の心の奥で黒いものがうごめく
え、なにこれ。この黒い気持ち

研磨のクラスメイトが
研磨の頭を撫でる
研磨に抱きつく
研磨と肩を組む

全部癪に障る
そいつは俺たちの脳なんだよ
気安く触んなよ
俺の大事な相棒なんだよ
俺の研磨だ
触るな

初めて自覚した
研磨への独占心
やばい止められない


結局研磨は今日の練習にも来なかった。

)なぁ誰か研磨知らない?

)あ。今日は東京に来てる月島に会うって行ってましたよ。2人って仲良かったんですかねー
…ってあれ?キャプテン?

すぐに駆け出した黒尾
部活帰りの暗い道を
一目散に研磨の家へ向かった

月島に会いに行っていることを聞くとほぼ同時にきたメール。
送り主は月島。
『研磨くん、貰います』
ちょっと待てちょっと待て
いきなり何なんだ月島
貰うってなんだよ!!!




研磨の家には誰もいなかった
どこだ研磨

走って通り過ぎそうになった公園

そこには見慣れた明るい短髪

)月島……

ベンチの上
研磨に馬乗りになって
上から研磨の唇を貪る月島
苦しいからなのか
寂しいからなのか
ぽろぽろ涙を流す研磨


気づけば俺は月島を突き飛ばし
研磨の手を握って走っていた

)クロ!痛い!待って…!

手をおもむろに離して研磨を見つめた。今にも泣きそうな顔。可愛い研磨。

)研磨。俺はお前が好きだ。お前は月島が好きなのか。答えろ研磨

たたみかけるように問い詰める
月島とあんなことをして
今にも月島を殴りに行きたい
俺の研磨に

)…………き

)は?

)……クロが好き……ずっと昔からクロが大好きだった……
でもクロは月島のことが好きなのかと思って…

しくしく泣き始めた研磨を
抱きしめる
小さくて
か弱くて
俺たちの大切な脳
俺の大切な研磨

)んなわけないだろーがよ
自分よりでかい奴嫌だし

)………何それ…まぁいいか





手に入れた研磨





)言葉足らずだし無表情だし
おまえ何考えてんのか分からないんだよ研磨
でも好きだよ研磨





___________
おまけ

)山口ー今日から俺のこと
キューピッドって呼んでー

)ツッキーお腹こわしたの?
風邪引いたの?熱あるの?
悩んでんの?

俺はいい奴だ。ほんといい奴ー
でもなぁ…ちぇっ
もう会えないじゃん

山口と別れてすぐ
泣きそうになった

すると後ろから声がする

『レシーブ下手くそお兄さん
慰めてあげようか?』

おっ。ラッキー

____________
次のお話へ続きます。
読んでいただき、ありがとうございました!感想やリクエスト、お待ちしています( *`ω´)

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