イケメン王子のおっしゃるままに


□ちょっと振り返ってみた
1ページ/2ページ




先輩のところに越してきた次の日にタカヒロに報告メールを送った。









実乃果『地元をでて先輩と二人暮らしを始めたよぉ(^^)』









タカヒロ『そうか、おめでとう。
次は失敗するなよ(^^)』




と励ましのような、でも私の意図を全く汲み取っていないような返事が返ってきた。
タカヒロとはまだまだ親しい関係ではない私は『おーい、何で先輩と二人暮らしをしているのか分かっておりますかぁ?www』なんていうツッコミも出来るワケがなくここは華麗にスルーすることにした。
もしかしたらヤキモチっぽいメールをくれるんじゃないか?と期待をしていたけれど私相手にやっぱりそれはなかった。
まぁ、太陽系でいうところの太陽と冥王星くらい距離と規模が違うイケメン・タカヒロと私が一夜のアバンチュールがあったとはいえ人間の一歩分も近づけていないくらい遠い遠い存在なんだからそんな対応でもしょうがない。
それに比べアサコは太陽の温かい光に包まれている地球だったんだろう。
タカヒロの友達でさえ木星や土星辺りの規模で存在感もバリバリあってちゃんとタカヒロの目に留まりやすいんだろうなぁ。
うわぁぁ、木星や土星が大きすぎて私なんかチリにしか見えないよぉぉぉ★
ていうか陰になって光も当たらないからチリがあることにも気がつかないんじゃないかぁ?(´Д`;)
と思いつつそんなチリの私にもイケメン・タカヒロはチョロッと光を差してくれるときがある。




今思い返すと実はタカヒロとはプライベートで2回ほど会っているのだ。
それは二人がまだ居酒屋でバイトをしていて私が告白をする前のことだった。




1回目はバイト先でもある私の地元の本屋でばったりと出くわした。
バイトが休みだった私は時間をつぶすために立ち寄ったところタカヒロが漫画売り場にいてお目当ての本を物色していた。
時間からしてタカヒロはバイトに入る前だったのだろう。









実乃果『あ、タカッチだぁ。
タカッチも漫画読むんだねぇ(^O^)』









タカヒロ『まぁな(^^)』




私は偶然会ったタカヒロにテンションが上がり側で長居をしたかったけれど本屋は図書館並みに静かだったから気をつかい小さめな声で話し掛け、尚且つイケメン王子の貴重なお時間を愚民のワタクシが奪っていいワケがないと思い一言二言話して即座に立ち去ろうと考えていた。









実乃果『その本て面白いのぉ?(・ω・*)
オススメがあったら今度教えてねぇ(^^)』









タカヒロ『お前はもっとタメになるような物を読みなさい。』




ず、図星を突かれてしもうた★









実乃果『ぐふっ……★
そ、それじゃーねぇ(((^_^;)』




と言ってその場を去ったワタクシメ。
確かに博識なタカヒロからしたら私の脳ミソなんてアリンコくらいにしか感じなくてつまらない生き物なんだろう。
見抜かれすぎてて惨めになった瞬間だった。




2回目に会ったのは何の音沙汰もなくタカヒロからメールがきたことから始まった。









タカヒロ『今Y2と飯田橋のクラブに居るんだけど暇だったら来ないか?(^^)』




というお誘いだった。
Y2君というのは同じバイト先に勤めている私と同い年の男の子で決して派手な感じではない仲間だ。
実のところこんな私はダンスの専門学校に通っていたのだけれど見た目はどうであれ踊っているときは表現者としてイキイキしていた。
この日のホールはどうもパラパラが開催されていたらしく私ならそれも踊れるのだろうとタカヒロたちに考えがあったのかは分からないけれど、しかしそちらの分野に興味がなかった私は全く型を覚えてはいなく勿論踊れるはずもなかった。
タカヒロの話をよくよく聞くと暇な人がいれば誰でもよさそうな状況だったのだけれどもイケメン・タカヒロの誘いには絶対に乗りたかった私は脇目も振らずにホールを目指したのだった。
入場の仕方を事前にタカヒロに聞いていた私は初めてのクラブをビビリながら一人で入り、人混みに揉まれつつもようやくタカヒロとY2君が居るところまでたどり着いた。
合流した私は手を上げ二人に挨拶を交わし









実乃果『タカッチはよくクラブには行くのぉ!?』




とタカヒロに質問してみた。









タカヒロ『あぁ!そうだな!(^^)』




と返答が返ってきた。
へ〜ぇ、イケメン王子は行動範囲が広ぅございますなぁ。
と感心をしてこの気持ちを伝えたかったのだけれども店内の爆音を前にヘタレた私は喋るのを止めてしまった。
そのうちにタカヒロとY2君に『ちょっと踊ってくるけどミノもいく!?(^^)』と誘われたけれども踊れない私は









実乃果『私はここに居るよぉ!
私のことは気にしなくていいから行ってきていいよぉ!(^o^;)』




と言って二人を見送った。
人混みがあまり好きではない私はクラブの勢いに気後れしてしまいタカヒロたちと一緒に行動することすら拒んでしまった。
私は数少ない椅子に座ってタカヒロたちの帰りを待つことにした。
極普通で飾りっ気のない私は勿論ナンパをされることもなく無事にやり過ごした。
そしてタカヒロたちが気を遣ってくれたのか私が到着してから1時間くらいが経った辺りで店を出ることとなり三人とも帰る方面が同じだったため私は二人の他愛ない会話を聞きながら帰った。
……王子自ら誘ってくれたのにその好意を完璧無駄にしてしまった私は処刑されるべき愚民ですね。
こんな苦い思い出は私の記憶から抹消したかった。






どーです?この2回ともチリのような存在の実乃果星っぷりわwww
そして時にイケメン・タカヒロは私をからかったりもしてくれていた。
…ん?
んんん?
表現がすでに下僕化されていることはお気になさらんでくだされwww
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ