イケメン王子のおっしゃるままに


□もしかして翻弄されてる?
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年末年始と言えば居酒屋は書き入れ時で大忙しになる。
しかも私のバイト先の最寄り駅には大きな御寺がありいつもは静かな街も一段と活気づくのだ。
よってバイトの皆は一部を除いては大体駆り出される。


大晦日のシフト決め。
私はチキンで断れない&特に予定もなかったから強制的に出勤させられた★
出勤メンバーにはイケメン・タカヒロも入っている。
あのストイックぶりもいつにも増して激しくなるんだろうなぁ(笑)と思いながらも一緒に過ごせるという事は嬉しかった。
アサコはどうも休みらしい。
私イジリから解放されるからホッとしたよねぇぇww


大晦日の当日はやはりお店は激混みの鬼混みで、タカヒロは勿論それ以外の仲間もイライラ&てんてこまいしていた。
けれども仕事が終われば皆も和みいつものタカヒロの笑顔も見られた。
これは大仕事を乗り越えた私へのお年玉やねぇ(*^^*)


私はやり遂げた感とタカヒロの笑顔をもらえた満足感を抱え早々と帰ろうとしたが






タカヒロ『帰ってもやることないしこれから初詣にいくか?(^^)』






とイケメン・タカヒロが私を誘ってくれたのだった。
勿論二人だけでとはいかず他の女の子も一緒なのだけど三人で行くことになった。
三人ですよ?
一人を除いたら二人ですよwww
ほぼ二人きりじゃないですか!?
イヤッホーーーーイ♪
もちろん行かせて頂きますともぉぉぉ(*≧ω≦)ノ
もう一人の子が可哀想とか言わないように。
一番可哀想なのは一緒に行く女の子を差し置いてこんな事を考えてしまう私の方だって知ってますからねぇ★


『そうと決まれば早速着替えてくるぜよぉぉwww』と意気込み、私は着てきたグレーのロングコートを羽織ってイソイソと更衣室から出てきた。
このグレーのロングコートは今年の流行りもあって私の大のお気に入りだった。
アサコからいじられる日々の中私なりにファッションや化粧を研究しバイト先でも率先して取り入れるようにしていた。
いや、タカヒロがいるバイト先だからこそ気合いを入れるようにしていた、という表現が正しいねぇww


『タカッチはまだ着替えてるのかな?』
すぐに出てくるだろうと思い外でもう一人の女の子と待つことにした。
タカヒロは5分ほどしてから『お待たせぇ(^^)』と言って出てきた。
タカヒロが店から出てきたのを背後で感じながら『やっぱ寒いねぇぇぇ★』と女の子と話しをしながら歩き始めたら






タカヒロ『あれー?
ミノとお揃いのコート〜(^O^)♪』






とテンション高めに言い放ったタカヒロは自分の右腕の中へ私を放り込んだ。
私の首と左側面の方向に重みが掛かりガクッと前かがみの姿勢になって私の歩みが止まった。




……一体何が起きたんだ?




一瞬何が起きたのか分からなかった。
自分の髪じゃない長さの髪が私の左頬にふわっと掛かり耳の近くから声が聞こえた。









タカヒロ『ニヒヒヒッ!
ミノが固まってるぅwww』






と言ったと思ったらパッと私を放して






タカヒロ『それじゃー行こうか(^O^)』






と何事もなかったようにタカヒロはもう一人の子と歩き出した。
私もハッとして置いていかれないようにその後を駆け足で付いていった。


今のは何だったの?……
ドキドキドキドキ……
あれ?
タカヒロがあんなに馴れ馴れしくしてきたのって初めてだ。
タカヒロの初めてのボディータッチに旨く頭が回らない。
私の顔の横にタカヒロの顔があったことを思い出し左手で頬を押さえた。
『か、髪の毛が乱れてる!』
急いで髪を整えつつも意外と激しく捕獲された事に実感した。


一連の流れに整理がつかず上の空で歩いていると御寺の門をくぐりいつのまにかお賽銭箱の前まで来ていた。
朝の6時すぎという事もあって人も少なくすんなり目的地点まで来れた。
二人共お賽銭箱にお金を入れてお詣りを始めている。
私も急いでお詣りをした。




『お願い事、お願い事…。
今年こそはいい恋愛が出来ますように。
勿論相手がタカヒロだったら凄く嬉しいですwww
どーか神様!何とぞヨロシクお願いします!!』
と15円しか入れていないのに眉間にシワを寄せながら力強くお祈りをして顔を上げた。









タカヒロ『そんな真剣に何をお願いしたのぉ?(^^)』






と私のお詣り姿を見ていたタカヒロが私の顔を覗き込んで言った。






実乃果『い、言えないよぉ(照&汗)
お願い事を口に出したら叶わなくなるからねぇwww』






あわわわ!近すぎて目が合わせられないよ★






タカヒロ『そうか。
じゃー俺も言わなーい(^^)』






と言ったタカヒロは私の側を離れてまた歩き出した。
しかしすッッッごい顔が近かったんですけど!
いきなり覗き込んだら焦るじゃんよぉぉ!!
タカヒロのお願い事は聞きたかったけれどこっちのお願い事は本人には言えないしねぇ★ww
しかし今年は新年早々から良いことがあるな〜。
イケメン・タカヒロとこんなに急接近できたしお気に入りのコートを着てきた甲斐があったってもんだよねぇ♪
とルンルン気分で御寺を後にした。


最寄りの駅にも近づきそろそろ皆とバイバイする時が迫っていた。
その時もう一人の女の子が『お腹が空いたから今から食べに行かなーい?(^O^)』とタカヒロと何だか楽しげに話しをしていた。






チクッ…






ん?何だ、今のチクッ…って。
私の心に何かが刺さった。
私もこれから一緒に食べにいくという流れにはなっていないけれど二人に付いて行ってはダメだ!と何かを悟った。






実乃果『私は…予定があるから先に帰るねwww
じゃーまた〜』






とかなり不自然に聞こえていたかもしれないけれど私なりに平然を装ってその場を去った。
私は一緒に初詣にいった女の子に嫉妬をしていたのだ。


二人に付いていったって私が何を喋れるというの?
この子とタカヒロが話しているのを端から見ているだけなんじゃないかぁ?
タカヒロと楽しそうに話をしてる姿を目の前で見たくないよ…。
アサコでもなくただのバイト仲間なのにその子にまで嫉妬をするだなんてホント最低。
私どーかしてるよ…。
浮かれモードから一転して私はドヨーンとした重たい空気で家に帰っていった。




しかし何を思ったのかこの日を堺にイケメン・タカヒロがちょくちょく私に絡み出した。
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