イケメン王子のおっしゃるままに


□純愛とキモさの狭間で
1ページ/3ページ




私は実乃果といいます。
化粧も知らない繁華街もさほど行かない、性格も派手ではないしどちらかと言えば内向的な女子だ。


私は高校を卒業して専門学校に通っているのだけど『とりあえず高収入のバイトをやりたい!』と思い立ち地元で見つけた居酒屋のバイトを始めることにした。
バイト仲間からはヘマばかり繰り返すわ、作業は遅いわでダメダメな人間だと思われていたはず。
ヘマはさておき、作業が遅いのは真面目で手が抜けない性分だからなんだけどさw
私はそのバイト先で一人の男性の先輩と出逢った。




彼の名はタカヒロ。




タカヒロは学年で言ったら私の2つ上なのだけれども年齢的には丸々3つ上の大学生だ。
タカヒロは勿論学生だからバイトの枠で仕事をしていた。
性格がクールでタバコもたしなむタカヒロは自分のカラーを知ってるからなのか出勤時のファッションもズバ抜けてセンスが良かった。
デニムのパンツにジャケットを羽織り、それに合わせて革靴を履いたりと全く周囲とは比べ物にならないくらい目を引いた。
そんなタカヒロは私からしたらすごく大人な男性に見えた。
ちなみにタカヒロはイケメンさんと呼ぶに相等するくらいそれはそれは整った顔立ちで、今で言うところの桜井翔と亀梨和也を足して2で割り全体的にスラッとしたような感じだ。


しかし私の中でのイケメンさんのイメージ像と言ったらあまり評価がいい物ではなかった。
いつでもどこでも素を出さずに決め込んでいて、でも華やかで眩しすぎて近寄れない存在だったからだ。
平々凡々な性格で普通すぎる顔立ちの私がそんなイケメンさんに関わろうなんざ当然オコガマシイとさえ思って遠ざけていた。
勿論こんな私をイケメンさん自らが相手にするはずもなかった。
しかしタカヒロは今までのイケメンさんのイメージとは少し掛け離れていた。


彼の勤務態度は超ストイックであまり笑わなかった。
むしろイライラしているから怖くて近づけもしない。
けれども一度バイトを上がると仲間達との雑談で満面な笑みをこぼしたりするのだ。
あの冷血なイケメン・タカヒロがですよ?
業務用食器洗い機に『さっさと洗いやがれ!』と言わんばかりに食器をガンガン!と物凄い音を立てながら荒々しく押し込んでいくあの彼が顔をクシャクシャってしながら笑うんですよ。
うきゃぁぁぁ!
この生き物はなんぞや!?
怒ったり笑ったりと素丸出しやないですかぁ!!
そんな可愛い面を見せつけられたらドギューーーン!!てあっさりと胸を撃ち抜かれちゃいました。
いわゆるギャップに惚れてしまったのだwww
何だか分からんけれどこの得体の知れないイケメンさんに関わってみたい!と直感的に親近感を覚えたのだった。
ちなみにこのタカヒロの笑顔は私とバイトが被る度に見れてしまうのでコチラとしては相当心臓に悪い(笑)
私はタカヒロの笑顔を盗み見ては勝手に一人で萌え萌えモンモンしながら過ごしていた。(´Д`;)ハァハァ
ホントに気持ち悪くてすみません★




そんなある日のバイト明けのこと、タカヒロの笑顔も見れたことだし私は今日も一人でさっさと帰ろうと更衣室に向かおうと思っていたらバイトの皆で今から飲みに行こう!という話が持ち上がっていた。
輪の中にはイケメン・タカヒロもいた。






『タカヒロも飲みに行くんだぁ…。』






あまり皆に馴染めていなかった私は『きっと私は誘われないんだろうなぁ。まぁ私を呼んだところで話の肥やしにもならないしね…。』と思いながらワイワイやってる皆をよそに一人遠間かで目も合わせず聞いていた。
と言うより帰るタイミングを逃してしまったので動こうにも動けない自分がいた。
そんな私の空気を察知したのかとある一人の仲間が声を掛けてきた。









『お前も来いよ。』




私を誘ってくれたのは紛れもなくあのイケメン・タカヒロだった!
なぜこんな私を誘ってくれるの!?
ていうかタカヒロとも挨拶を交わす程度で特に何の接点もないのにホントに私なんかが行ってもいいのですかぁ??
皆の輪にもちゃんと溶け込めるのか不安だったけれど、しかしそこは恋する乙女の気持ちが勝ったワタクシメ。


イケメンな神(タカヒロ)は私を見捨てなかったぁwww
いやっほっほーい♪
ワタクシメ是非ともお供させてもらいますともぉぉぉ!
と勝手に心の中で舞い上がりチャッカリ付いて行くことにした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ