イケメン王子のおっしゃるままに


□5月2日
2ページ/2ページ



そんな5月20日ごろの昼間、彼氏の休みの日に突如として事件が起きた。
今まで私の携帯電話に一切の関心を示さなかった彼氏がこの日になって執着をしてきたのだ。
彼氏が言うには最近私が何だか落ち着いて見えるという理由からそうなった。
こういう時の勘だけは怖いくらいすごく働くらしい。
中原先輩の連絡先は携帯に登録をしていないからバレることはないのだけれどタカヒロとのメールは消さないでそのまま受信箱に入ったままだった。
正確にはタカヒロとの思い出が唯一形として残る物だったし、タカヒロが私に送ろうと思って送信してきた事実を消す(=無かったことにする)ことが出来なく大切に取っておいたのだけれど、それを彼氏に見られでもしたら…と思ったらフラッシュバックと共に一気に血の気が引いていった。


それは彼氏と私がまだ付き合い始めの頃に私が以前付き合っていた彼にバージンを上げたという話をした事があり、それに嫉妬をした彼氏が『そいつの指の一本や二本折らないと気が済まない!!』と目の色を変えて本気で実行しようとしていた事があったのだ。
タカヒロとの何気ない内容のメールのやり取りも勿論のこと、彼氏の知らない間に他の男と私が結ばれてしまい次の日にはセフレの話までしている、という内容のメールを読まれでもしたら血眼になってタカヒロを見つけ出し確実に痛め付けると思った。


彼氏は私から携帯を取り上げて中身を見ようと手荒な行動に出た。
私は携帯を奪われないよう手の中に隠しそれを体で覆うようにしながら必死に守った。
その私の行動を見て更に彼氏が激情し暴力を振りかざしながら本気で奪いに掛かろうとした。
凄まじい勢いであちこちを殴られ蹴られ私の体力にも限界がきていた。









『もう…ダメかも…』と諦め掛けた瞬間









メリメリメリリ……ッッ…バキッッッ!









私はタカヒロに迷惑を掛けたくない一心で全長15cmほどのロング式の携帯電話を彼氏の目の前でへし折って見せた。
それは思いの外アッサリと折れて私は証拠隠滅に成功した。
勿論彼氏はそれを見て逆上し思い切り暴力を振ってきた。




タカヒロが守られたんなら私はどんなことをされても平気…と心の中で呟いて彼氏の暴力が収まるのをただただジッと耐えた。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ