イベントとか色々

□バレンタイン
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バレンタイン当日、仕事が終わったアルは僕の家に来てくつろいでいた

「はぁ、まいったよ。今日は朝から散々だった」

そう疲れたように笑うアルにお酒を出すと彼は礼を口にしてアルコールを煽った
彼のそばに座り僕もロゼを口にするとアルは困ったような憐れむような表情を浮かべ僕を見つめた

「…なんですか?」

「いや、俺でこんだけ酷いとバーナビーはもっと酷かったんだろうな、って」

「そうですね、まぁ危険がないかチェックした後は孤児院とかに寄付します」

「へぇ、バニーちゃんはモテモテだもんな」

「その呼び方やめてください」

「はいはい」

ちらり、とアルを盗み見ると彼は疲れているのか丁度眠たそうに小さく欠伸を噛み締めていた

僕は立ち上がると引き出しに隠していたモノを取り出しアルの近くまで歩を進める

「アル」

「ぅんー?」

「今日は何の日かしっていますよね?」

「バレンタインだろ?」

「……」

「それがどうかしたのか?」

「…」

「バーナビー?」

黙り込む僕を不思議そうに見つめるアルから視線をそらすと僕は持っていた包を彼の目の前に突き出した

「うわ、…なんだこれ」

「よければどうぞ」

「え?」

「……開ければわかります」

そう告げるとアルはまだ頭に疑問符を浮かべながらも包装紙をぺりぺりとはがした

「これ、有名店のクッキー…?」

「差し上げます」

「え、なにこれ貰い物?」

「……」

「バーニー?」

「…っ僕からのバレンタインプレゼントですよ…悪いですか!?」

開き直ってそう言うと頭を撫でる大きな感触
驚き顔を上げるといつの間に立ち上がったのか、僕と向かい合うアルトゥールの姿

「…ありがとな。」

「っ……買ったものですが味はファイヤーエンブレムさんのお墨付きです」

「うん」

「べ、別にバレンタインだからとか、気にしたわけじゃ…たまたま、たまたまそのお店に行く機会があって、ちょうどバレンタインが近かったから……」

しどろもどろになりながらもそう捲し立てるとアルは優しそうに目を細め僕の頭をさらに強く撫でた

「うん、ありがとうバーナビー」

「っ…」

「今日貰った中で一番の、最高のプレゼントだ」

「……



      ……本当は、作ろうと思ったんです」

「うん」

「けれど何度やっても上手くいかなくて……結局買うことになって、」

「…うん」

「でも、その…やっぱり手作りの方がいいのか、とか…色々考えたり、でその…」

「バーナビー」

名前を呼ぶ声と共に身体を強く抱きしめられる

「知ってるよ、お前の手が傷ややけどになってたからな」

「!」

「市販とか手作りとか関係ない、大事なのはその想いだ」

「っ…」

「だからありがとう、バーナビー」

「……大事に食べてくださいね」

「もちろん」




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