イベントとか色々
□バレンタイン
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「甘いものといっても…」
帰宅途中、ふと考えることがあり本屋に寄ってみたところある一部のスペースがピンクや赤に彩られていた
おそるおそる近づいてみるとそこには
『バレンタイン特集!今年は手作りスウィーツで攻めよう☆』
という文字が
「手作り…か」
正直あのカラフルな色の包に入ったスウィーツを女の子に混じって買う勇気がなかったためその文字を見た時僕はこれだ、と思った
KOHというメンツもあるためずっとそこにいるわけにもいかずとりあえず1冊を取ると人に見られないように、と急いでレジに向かった
まぁ、それで冒頭に戻る訳だけれど…
「そもそも僕は料理をあまりしたことがないんです。なのにスウィーツ作りなんて…」
雑誌に書いてある通りの分量で作ったはずなのになぜか黒ずみになったり生焼けだったり
料理のセンスがないのか、と疑うほどの惨状に泣きたくなった
「べ、別に今までこんなことしたことなかった訳ですし用意する必要なんて…」
独り愚痴るように呟くもふと頭に浮かぶのはアルの顔
彼は僕より甘いものを好んでるからおそらくきっと仕事場の女性から貰ったものとか喜んで食べるかもしれない
彼はあれでもモテるからきっと沢山のお菓子を貰ってくるのだろう(僕ほどじゃないだろうけれど)
なんとなく、本当になんとなくだけれどチクンと胸が痛み小さく首を左右に振った
もう一度惨状となっているシンクを見つめ、僕は気を入れ直す
「よし、」
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