機能不全家族において、最も被害者となるのは誰なのか。
自らに生活力が無く、その家庭から脱出することができない子どもである。
生活能力に乏しい子どもは、このような不幸な状況から逃れることができず、歪んだ思想や観念を全身に受けながら生活しなければならない。
そして、子どもとしての時期に学ぶべき社会のルールや愛情を学ぶことができず、親や家庭に対して必要以上の気遣いをしながらの生活を余儀なくされ、歪んだ自動思考を身につけることが多いのだ。
結果として、子ども社会での適合ができにくく、様々な問題を引き起こす場合がある。
例えば、周囲の児童が何故自由奔放に振る舞えるかが理解できず、他の児童の目から見れば非常に大人しかったり、他者とは異なる価値観や思考・行動パターンが原因でいじめの対象にされやすい傾向にあるのだ。
また、成人して社会に出てから、更なる人格形成の歪みを引き起こす場合もある。
特に親などから虐待を受けた子どもは、生活力を身につけて家庭を出た後、年老いた親に対して冷たく当たる、または暴力的に支配しようとするなど、俗に言う「親への復讐」を始めるケースも多く見られるのだ。
機能不全家族の中で育った子どもが、育った環境の異常さに気付かないことがある。
その場合、自己の配偶者として同様の歪んだ価値観を持っているパートナーを選ぶ場合が多い。
成人してからも同様に不遇な人生を選んでしまう場合が多々あることが、機能不全家族の一番の問題点だろう。
また、機能不全的なパートナーを選ぶことはなくとも、自らの機能不全家族の経験や健全家族の経験の欠如から、世代間の連鎖によって新たな機能不全家族を生み出すことが多い。
自己の人生においても、不遇な、または破滅的な人生となる場合が多いのが現状である。
凶悪犯罪などで、犯人の精神鑑定を行ったり生い立ちを探っている際、犯人の家庭環境や育ての親の思考、教育方針が非常に歪んだものであることが発覚するケースがほとんどなのだ。
それでは、次のページで精神的に歪んだまま育った大人の思考について詳しく書いていきます。
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