×西谷

□俺だけの、
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帰りのHR、気怠そうに話す先生の話を聞き流しながら。




(ああもう、早くしろよ…っ)




苛々とし始めたところで、週番の号令がかかった。










数十分も前に準備し終えたバッグを掴んで向かうは────
























────愛しい旭さんの元。



















































































































「旭さん!!部活!!!!」



3年生の教室だろうが構わない、勢いよくドアを開ける。

開けた先、窓際の一番後ろの席。


一際目立つ、その容姿。




「、西谷!」




HRはとっくに終わっているようだったが、旭さんはそこにいた。




「準備するから、ちょっと待ってて」




そう言ってふにゃりと笑う旭さんを見て、どうしようもないくらいの愛おしさを感じてシャツをぐしゃりと握り締める。

俺が来るのを、待っててくれた。




(──これから毎日、旭さん迎えに行きますから!!)
(ええ?!い、いいって!別に俺、もう逃げないし!!)




そんなやり取りをしたのは、もう2週間くらい前のこと。



また旭さんがいなくなるのが怖くて。

俺の前から旭さんがいなくなるのが。



どうしようもないくらい、怖くて。







(それからずっとこうして俺が迎えに来るのを待っててくれるんだよな…)




そう考えると、胸がキュウウ、と締め付けられる。



思わずニヤけそうになった顔をなんとか引き締めたところでふと目に入ったもの。










楽しそうに笑う旭さんと、クラスの女子2人組。






旭さんのことだから、きっと他愛もない話をしているに違いない。



───違いない、のに。

わかってるのに。





いま、旭さんが、



ものすごく

















ものすごく、遠い────






















胸が、締め付けられる。


先程とは違う、ズキズキとした痛みとモヤモヤグルグル、気持ちの悪い感覚に襲われる。





なんで、



なんで。








ふわりと香った、大好きな匂い。




「西谷?」




その声にハッとして、顔を上げる。

…と、予想以上に近い位置にあった旭さんの顔



「……っ!!?///」




顔が赤いことくらい、自分でもわかった。




これでも俺たちは恋人同士だ。

手を繋ぐことも、ハグも、キスも、セックスも何回もした。




のに。





(なんでこんな初々しい反応してんだ俺!!!!)



「西谷?大丈夫か?」

「へっ!!?」

「や、顔赤いし…熱でもあんのか?」



そういって差し出された手に目が奪われ、身体が硬直する。

額に手を当てられ、手の冷たさが心地よくて。



無意識だった。













その旭さんの大きな手に、擦り寄った。











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