昴の第一本棚(長編)
□ご主人様と私 後編
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5章1
ご主人様がお仕事に都合を付けられて
長期休暇をお取りになられた
ご主人様と私の分
数日宿泊出来る用意をするように
昨夜急に仰られた
ドライバーを使わずに
ご主人様が運転して
初めてのドライブ
どちらに連れて行って頂けるのかしら?
助手席に座り
ご主人様のお顔ばかり拝見して
なんだか少し落ち着かない
それなのに
ご主人様は
何か考え事をしていらっしゃるのか
今日はいつもよりも無口で
そんなご主人様に対して
私も話しかけられないでいた
随分と時間が経って
沈黙に耐えられなかったのは私
「ご主人様
どちらに行かれるのですか?」
でも
『あっ…うん…』
それ以上のお話しが進まない
そんな重たい空気の中なのに
ご主人様と二人っきりだから
私の躯は
ご主人様に反応している
今は
運転をされているのだから
それは無理
もう少しだけ
我慢をしてみよう
ダメ
やっぱり我慢出来ない
思い切って
ご主人様に伺うことにした