NOVEL
□筋斗雲の恋
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少女『 雲がとんできたっ!! 』
(―仕事だからね。とはいえ、私に乗れない爺さん、いったい何の用?)
亀仙人『 これを おまえにやろう!』
(あなたは私に乗れないものね。)
少年『 どうやって食うんだ?』
亀仙人『 ありがたい雲を食うなっ!!! 』
(矧うく食べられるところだったワケ?!私ι)
亀仙人『 筋斗雲に乗れば意のままに 空を飛ぶ事ができるんじゃ。』
(“清い心”を持ってたらね。)
少年『 オラ乗ってみる!』
―やけに澄んだ瞳をしているな…そう思った。
少年は、ジャンプしたかと思うと‘とんっ’と音をたて、私に乗った。
(の…乗れた……!)
少年『 わーい のれた のれたー!! 』
更に驚いたことに、彼は一瞬でコツをつかみ、意のままに空を楽しんだ。
彼の澄みきった心が伝わってくる。
こんな人間が、まだこの世にいたんだ―!
なんだか、とても嬉しくなった。
こんな気持ちのいい時間を過ごすのは久しぶりだ。
少年『 そうだ!おめえ 筋斗雲って名前だったっけ。オラは悟空、孫 悟空だ! よろしくな!筋斗雲!! 』
( こちらこそ!よろしく 悟空!! )
―主人に私の意思は伝わらない。
だからこそ、私は精一杯、ご主人様につくす。
―それが、私の仕事―