NOVEL
□ねぇ、悟空さ。
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悟空さ、見てるだか?
まぁた一方的に語りかける日々に戻っちまっただな。
悟空さが神龍と共に姿を消しちまってから、どのくらい経っただかな…
この間パンちゃんがな、珍しくおらに欲しいものがある、なんて言っただよ。何かと思ったら
『 おじいちゃんと同じ道着が着たいの。作ってくれないかな。お願い、おばあちゃん!』
て言っただよ。
久しぶりに夜なべして道着を縫いながら
(もっと可愛い服を着ればいいだに…)
なんて思いつつ
「 まぁ…カエルの孫はカエルってことかもしれねぇだな。」
気付けばおら、出来上がったその道着を抱きしめて、泣いていただ。
次の日、パンちゃんは満面の笑みで道着を受け取ると
『 早速着てみるね!』
そう言って袖を通した。
『 凄い…何だか…おじいちゃんになれたような気分!!』
「 なぁに言ってるだか、この子は。」
まだまだ無邪気な子供だと笑っていただが…
道着のせいか…見れば見るほど、仕草が本当に悟空さにそっくりだと思ってしまっただ。
「 やっぱり…カエルの孫はカエルだか。」
そう呟きながら笑っていたら
『 見てて!おばあちゃん』
パンちゃんは笑顔でおらにそう言った後、キリッと顔つきを変えた。