* 探しモノ *
□第1話
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「それじゃあ、明日の10時に時計台で待ち合わせね。」
いつもどうりの約束。
「瀬利亜〜、遅刻するなよ?」
「なっ///
私は遅刻なんてした時ないじゃない!!」
いつもどうりの会話。
「ジョーダンだって、そんなに拗ねんなよ。」
いつもどうりの笑顔。
頭を撫でてくれる温もり。
優しい声。
優しい手。
優しい眼差し。
「それじゃあまた明日な。」
そう言って瀬利亜の右頬にちゅっとキスをし、手を振りながら笑顔で帰って行く。
「フフ〜、みーちゃった♪」
「ひゃあ///」
彼が見えなくなるまで瀬利亜が見送れば、少し前に通り掛かったレイラが、邪魔はするまいと頃合いを見計らって、瀬利亜が一人になった所で背後から抱き付き、耳元で吐息混じりに囁いた。
「か……かかか、母様ビックリさせないで!!」
「あら、別に減るもんじゃないんからいいじゃないの。
それよりほらー、見てよこの美味しそうなケーキ♪さっき佳正君からも電話来てもうじきお料理出来るから早く帰って来なさいですって。
だから早く帰りましょう。」
「ホント?父様のお料理なんて何日振りかしら、凄く楽しみ。」
「そりゃあ、可愛い娘の……まぁ、一日早いけどお誕生日ですもの、無理に休みを取ってくれたから当たり前よ。
何時も仕事仕事で構ってやれないからって、佳正君凄い気にしてたわよ?」
「父様ったら、別に気にしてないのに。
父様だってお仕事なのに……弁護士だって楽な仕事だとは思わないわ。」
「そうね、それじゃあ佳正君には瀬利亜には愛しい彼が何時も傍に居てくれるから寂しくないですって言っておくわね♪」
「ちょっと、母様!!
そんな事言ってないじゃない!!」
「あらら〜?
瀬利亜ったら照れちゃって可愛い♪」
「母様///」
そうして瀬利亜はレイラにからかわれながら、家への帰路を帰って行った。
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「ただーいまぁ、ん〜良い匂い。
佳正君相当張り切ったわね。」
家に帰るなり、玄関の戸を開ければ料理の良い香りが2人の鼻孔を擽った。
「2人共お帰り、丁度ご馳走も出来上がったから早く入った入った。」
丁度ご馳走を運んでる佳正と玄関で出くわし、お料理が冷めちゃうよー、とせっせと運ぶ。
言われるがまま中に入れば、リビングには既に豪華な料理が所狭しと並べられていて、2人のテンションもグッと上がった。
「凄い凄い、美味しそう!!」
「思った以上に頑張ったわね、佳正君。」
「まぁ、愛娘の年に一回の誕生日、張り切らないでどうする!!」
ふふん、と胸を張る佳正にクスクス笑うレイラ。
「母様、父様、私もうお腹ペコペコ。
早く食べましょう。」
お腹を押さえながら瀬利亜が言えば、それもそうねと、レイラ達も席に着いた。
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