子爵令息×成金娘
□婚儀
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眞継と佳子の、『互いの人柄を知るため』の外出は、役に立ったようだ。
「うち、京野さんと一緒になります」
当初、結婚に臆病で気が進まない様子だった佳子のこの言葉に、祖母の礼子は感激したが、母の直子の顔色は穏やかではない。
「…ほんまに? ほんまにええのん、佳子」
「へえ。 うち、瞬きしていないでひょ」
佳子は嘘を吐くとき、瞬きする癖があると母に言われたことがある。 幼少期から嘘を吐いても母にすぐ見破られたのはそのせいか。
「瞬きしているかはどうでも良いんや。 佳子がほんまに良いと思ったならええんやけど…」
「直子サン、佳子と離れるの嫌なだけでショウ」
夫である佳子の父親に図星を突かれ、母の機嫌はさながら爆弾低気圧と化した。 気性の激しさは母(佳子の祖母)譲りなのだ。
「チャーリーだってそうじゃない?」
「モチロン、佳子と離れたくないという気持ちは分かりマス。 でも、佳子には幸せになってほしいデス」
この一言で、直子は娘の結婚を許してくれた。