LIBRARY:06

◆GENTLE
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誘ったのは、銀次の方からだった。

本人はかなり恥ずかしくて勇気の要るものだったけれども、蛮は喜んでくれた(らしい)。
…だって。だって今日は。
2月14日という戦闘日。
『バレンタインという名の、恋するすべての人の攻防戦!!』…というフレーズは雑誌から拾った。
とっても大変で大事で大切な日なのだと聞いた。

本当は、ナイショでチョコを準備する予定だったのだ。
蛮と銀次の仲を応援してくれる女性陣に手伝って貰って、手作りチョコなんてものを。
そのくらい気合を入れなきゃダメよ、と鼓舞されながら。
しかしまぁ、色々あって…とても蛮に披露できるものではなくなった訳で。

──とにかく今は、『コッチ』に集中。
「あっ、あ…うぁ…!!」
また深く嵌まり込んだ雄熱は、銀次の中を内側からドロドロにしてしまう。
気持ち良くて気持ち良くて、それ以外の思考を次々押し出してしまうし。
「今日は一段とエロい顔しやがって」
「…そ、そんなの…わかんないよ…っあ…!!」
腰奥へ、強烈に叩き付けられる。
ひと突きごとに、頭の中が真っ白になって…。

…チョコが渡せなかった代わり…という訳では無いのだが。
それはもう、限界までの勇気を振り絞ったのだ。
後々思い返すだけでも、心臓がどうにかなりそう。
『そういう関係』ではあっても、『そういう行為』について、銀次から誘うということは全くと言っていいほどナシ…で。
良い機会だとかタイミングだとか、言い訳みたいだけれど。
思い切ってみたかったのだ。
銀次だって、彼と触れあいたくてたまらないのだと。それを知って貰いたかったから。

「あっ…あ、っひ…だめ、もう…」
「…っは、締め過ぎだっての…っ」
トドメとばかりに、最奥へ捩じ込まれる。
全身が快感に甘く侵され、腰が跳ね上がるのが分かった。
おそらく自分は極まってしまったのだと思うのだけれど、意識が数秒浮いて途切れている…。
全てが絶頂感に支配されて、抗う事すら考えられない。
…仰向けにくたりと倒れ込んだまま、自らの腹部に噴き上げた白濁。
少し遅れて、彼も。寸前で引き抜き、銀次の太腿へ浴びせる。
「…ん、あっ…」
もう、どちらが吐き出したものか分からなくなる程に濡れて。
呼吸もなかなか整わないのだけれど、濃厚な余韻に溺れ浸るのが本当に心地よくて困る。

──このまま、ゆっくりと眠りに溶けてしまいたいところのなのだけれど。
…今日は、ちょっとだけ違っていた。
まだ、疼く。熱くて熱くて、腰の奥が淫らに火照る気がして。
自分から誘い強請ったからだろうか。もっとメチャクチャにされたって構わないとさえよぎってしまう程に。
よりハッキリと感じてしまったのは、未だ硬さを保ったままの彼の雄熱を察したからだ。
「…まだ、かたい」
「あんま煽んな、身体辛いんだろーが」
「もっかいしたい…って言ったら、いや…?」
自分でも、もう何を口走っているのだか。
今日の自分は、とっくに羞恥の限界など振り切れているに違いない。または、あんまり気持ち良過ぎて、色々鈍くなっているのかもしれない。
アタマの芯に靄が掛かっているような、ぼんやりした調子のまま。
銀次がまだまだ慣れないから、蛮がずっと気を遣ってくれているのも分かっている。
でも、今日は。ガマンして欲しくない。
加えて言うなら、銀次の方だって我慢できそうにない。

「…前言撤回は受け付けねぇぞ」
「し、しない…」
「大胆なお誘い、有難く頂戴してやる」
再度宛がわれた熱に、ぞくんと奮えた。
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