LIBRARY:06

◆VEER
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最初の内はこんなじゃなかったんです、本当です。

…慣れないころは、声を抑えることに必死で。
ヘンな喘ぎを聞かれるのが恥ずかしくて、口元を手で覆ってみたり、服を噛んでみたり。
けれど、回数を重ねるほどに、それらも厳しくなってきて。
最近なんかもう、ホラ。あれですよ。
色んな意味で堪えることが出来なくなっていって。

おまけに、銀次を抱くこの人は、行為の最中に声を殺すことを許してくれない。
「面白くない」だそうだ。
もっと聞きたい、とも言う。
更に言えば、「そうやって恥ずかしがっているところから喘がせるのが楽しい」だそうだ。…オニだ。聞きたくなかった。
こちらが何とか頑張っているのに、わかっていてあれこれ言わせようとする。
恥ずかしいこと。イヤらしいこと。もっと恥ずかしいこと。

どんなに必死に声を押し殺しても。
…挿入されると、もうだめ。

「あっ、あ…!!やぁっ、奥…」
「イヤじゃねぇだろ、何て言えって教えたっけなー…」
ずん、と重たい衝撃を伴って突き立てられる熱杭。
どんなに身を捩っても、腰を逃がそうとしても。ナカの『気持ち良くてたまらない箇所』を狙い定めるように追ってくる。
「…そ、そこっ…ばっかり、したら…っ」
容赦無く攻め立てられ、殆ど前部を弄られる事無く果ててしまう。
深々と雄熱を食んだまま、まるで押し出されるように精を噴き上げて。
…達しながら、それはもうはしたない声を漏らしていたのは言うまでもなく。
これは本当に自分の声なのだろうかと思うくらいだ。
「キツ…、後ろだけでイくとか…エロ過ぎだろ」
「だ、だから…だめって、いった…」
ビクビクと腰だけが跳ね上がってしまう。

──更なる失敗は、先日の件であると思われる。
彼に真面目に相談したのが痛恨だった。
声を出してしまうのが「恥ずかしいんです」と。「喋らせないで」も訴えた。
だから、『ありとあらゆる意味で手加減して下さい』願いをした訳で。
しかし、それらは全くの逆効果であった模様。
「そうか、もっと際どいのがお好みか」
「ちっ…違う違う!!誰もそんなこと言ってない!!」
思わず、真っ赤を通り越して真っ青になる。
「声を気にするくらい余裕があるって事だろ?もーちょっとキツめに攻めてやっても」
「ダメです!!それはダメだってば!!」
やや食い気味に反論してはみたものの。
実際、彼にはまるで効いていなかった。それどころか、逆に楽しませてしまっている。

そしてその結果、現状。
手で口元を覆う事すら許されず、そういう素振りを見せたら腕を縛るぞとも言われた。
「あっ…ひぁ、あ…!んンっ…!!」
突き上げられるままに声が漏れてしまう。
恥ずかしいのに。恥ずかしくてたまらないのに。
…次第に、頭の芯がぼんやりと痺れていくのだ。何も分からなくなっていくような。
気持ちいいことしか考えられない。
部屋に響いているのが、自分の声なのかどうかすら…。
立て続けに数度イかされたところまでは覚えているのだけれど。

気付けば、今度はうつ伏せにひっくり返されていて。
腰だけを高く上げた、かなりイヤらしい格好で貫かれていた。
「こ、これっ…深っ…だめー…」
「さっきからきゅんきゅんエロい締め付けしてる奴が…」
「っひ…!!」
ずくん、と強く打ち付けられただけで。全身で彼に屈してしまいたいと奮える。
奥まで届いていることを主張するかのように、密着させたまま動かないのだ。
自分のナカがぎっちり絡み付いて、侵入するモノのカタチに押し広げられている。
額をシーツに擦りつけて、またナカで大きくなる雄熱に喘ぐだけ。
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