LIBRARY:06

◆STAR
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…7月なのに、雨がざぁざぁ。
オレと蛮ちゃんは、急な雨に慌てて帰ってきたものの、全身ズブ濡れ状態。
昼間はそれなりに温かかったものの、すっかり冷えてしまって。

『お前は無駄に体温が高いから』とか何とか言われて、携帯カイロ代わりにくっつくのはどうなのか。
…ちょっと嬉しいけれど。
あんまり密着度が高いと、そんなつもりも無くたって…その。かなりドキドキそわそわしてしまう訳で。
銀次の方から抱き付くのはいつものことだけれど、蛮の方から抱き寄せられるのは全然違うのだ。
どうも慣れないし、緊張もしてしまうし。

少しの肌寒さなんて、抱き合えば簡単に埋まってしまう。
陽も傾いた頃には、いつの間にかベッド上に押し倒されている始末。
「だいぶ濡れちまったな、風邪引くなよ…って、お前は平気か」
「うわぁ、なんかメチャクチャ失礼な気がする…」
笑い合いながらも、さりげなく服は脱がされていくし。折角着替えたのに。

「んっ…ふぁ…」
キスをして。肌を寄せ合って。
軋むベッドの音と、強めの雨の音が響いて混じっていく。
自ら腕を伸ばして、彼の温かさも確かめて。
そっと顔を横へ倒したとき、ベッド脇に置いていたアナログ時計の日付が目に入った。
それで思わず、口を開いて…。
「あっ、そうだ…蛮ちゃん?」
「何だ」
その体勢のまま、彼に言う。
「今日って、7月7日だよ?たなばた」

──去年、ちゃんと蛮に教わったのだ。
今日がどんな日か。七夕伝説の話も。
銀次はそういう話には本当に疎いものだったから、初めて聞く話がほとんど。
織姫と彦星の話で少し切なくなりながら、蛮は本当に博識なのだなぁ…と感心したものだ。

「そういえば…。そうだったな、忘れてた」
彼の表情がちょっと柔らかくなった。
…去年のことを、思い出してくれたのだろうか。
「ねぇ、蛮ちゃんだったらどんなお願い事するの?」
「はぁ…?何だよいきなり」
「いいから!お願い事、なぁに?」
突然、聞いてみたくなった。
何が欲しいだとか、ここに行きたいだとか…あんまり言わない人だから。
こんな話題でもなければ、話してくれないと思うし。
「…そう言うお前はどうなんだよ」
「えっ?オレ?…オレは、蛮ちゃんとずっと一緒にいたいですってお願いするよ?」

…そう素直に言ったのに、蛮ちゃんってば視線をそらすのだ。
おまけに、手の平で顔を覆って伏せてしまうし。
笑われたのかと思った。思った…が。どうやら違う。
「…なんで蛮ちゃんが照れるのさ!」
「お、お前なぁ…そんなセリフを素面で言うな!こっちが激しく照れる!!」
本当のコトなのに。
オレは、ずっと蛮ちゃんといたいのに。
蛮ちゃんは違うのだろうか。
…織姫と彦星は一年に一回だけの再会だけど、オレは毎日蛮ちゃんと会えて幸せなのに…。
これがずっと続いたらいいな、って思う。

「…恥かしいこと言われたら、サカった」
「え!?な、なにさそれ…!」
…結局教えてくれないんだから。
蛮ちゃんの、お願い事。
なんだか上手くはぐらかされた様な気もする…。

──丁寧に慣らしてもらったあと、彼のモノがゆっくり入ってくる…。
愛撫もひどく心地良くて、雨の音も遠くに聞こえてしまうくらいに。
おそらく、銀次の身体で、彼が触れたことの無い場所など無いのかもしれない。それほどに。
そして、切っ先がその中心へ捩じ込まれていく。
「ん…あぁ…っ…」
…何度抱かれても、この瞬間だけはどうしても慣れない。
貫かれる瞬間。強烈な圧迫感に息を詰めてしまう。
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