LIBRARY:01

◆PAIN
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欲しくて欲しくてたまらない。
そんな風になってしまったのは、いつからだっただろうか。
好きで好きでおかしくなりそう。
誰にも、渡したくない…。
──銀次を。

「あ、蛮ちゃん…っ、蛮ちゃ…!!」
悲鳴のような喘ぎと、ズプリ、ぬぷっ…と、淫質な水音。
銀次は己の下部に太い蛮のモノを咥え込み、底無しの快楽に溺れた。
激しく暴かれ、休み無く肌を重ね。
「はぁ…ン!!蛮ちゃん、ソコもっと…っ!!」
「随分とヤラしくなったモンだよな、銀次?そんなにイイか?コレが…!」
言うと同時に、大きく突き上げ強く揺さぶった。
「あぁ!!して、もっと…んぅ、ン…!!」
泣きながらも貪欲に蛮のモノを締め付けてくる。
ここまで素直に身体を開かせるまで、だいぶ苦労させられたものだが…。
「イっちゃ…う…!蛮ちゃんっ、あっあッ…!!」
ズプズプと淫らに音をたてながら、熱が上昇しつづける。
こんなに乱れる銀次は自分だけのモノだと思いたい。
いいや、自分だけのモノにしたいのだ。

どんなに強く抱き締めても、どんなに激しいキスをしても、何度その内部を犯しても…。
──不安は消えない。
いつか銀次が自分の元から離れていってしまうかもしれないという、不安と焦り。
こんな気持ちを抱いたのは初めてで。
扱い難い感情は、厄介で忌々しくさえある。

どうしてだろうか。今夜はこれほどまでに昏い気持ちで満たされている…。

いつもよりも無口な蛮の様子に、銀次もふと違和感を覚えた。
「蛮…ちゃん?どうしたの、ねぇ」
急に何も言ってくれなくなった蛮に、銀次もどうしたら良いかわからなくなる。
普段なら、行為の最中にはもっと名前を呼んでくれたり、意地悪なこと言って攻めたててくるのに…。
「あ、っン…どうしたの?ねぇ蛮ちゃん」
カラダを繋げたままの無理な体勢で、彼の顔をそっと覗き込もうとした。
…すると。

「あっ!?…ひぁ!!」
突然、蛮が大きく律動を速め、ソレを深く捻じ込んできたのだ。
「蛮…ちゃ!?あぁ、激し…すぎ…だめっ、壊れちゃ──!!」
ガクガクと揺さぶられ、銀次の先端からもジワリと先走りが溢れてくる。
乱暴にされながらも、確実に快感を拾っていて。
気持ち良さに蕩ける中、閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
「蛮…ちゃ…」
すると、涙で歪んだ視界ではあるけれども…蛮の唇が小さく動いていることに気付いた。
──『銀次』と。自分の、なまえ。
音として発せられてはいないものの、銀次にはハッキリとわかった。
「あンっ…は!!」
いつもより強引に…激しく。深い場所へ連れて行こうとしている。
声にだして、呼んでくれればいいのにと思う。
切なくて、くるしい。
胸の辺りにチクリと刺さるものを感じて、それが酷く痛むのだ。

「…っつ」
銀次、と。
蛮だって、本当は何度だって呼び掛けてやりたい。
…こんな風に乱暴にしたい訳じゃない。
こんなにして泣かせたい訳じゃ無い…。
なのに、自分の内からの衝動に逆らえない。
名前を呼んで、身体まで貪り尽くしたなら。
銀次を、もっと光の届かない場所まで引き摺り込んでしまいそうなのだ。
制しきれない欲ばかりが牙を剥いて、狂気へと姿を変えてしまうことを恐れている。

「今日の蛮ちゃん、こわい…っ…!!そんなにされたらオレ…もたな…ぁ!!」
ビクビクと身体を弓なりに跳ね上げ、涙がとめどなく頬を伝う。
感じすぎて、反応が益々敏感になっているのが分かる。
「っつ、ヒぁ!!あ…!」
水が爆ぜるような音が部屋中に響いていく。
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