私の恋路
□ウサ吉とトラウマと!-新開-
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side真優
はっとして彼から距離を取る。
「ご・・・ごめん」
「あぁ・・・気にしないでくれ」
少しだけ嬉しそうに微笑む彼に切なくなる。
さっきは、まるで自分じゃないみたいに言葉がこぼれた。
でも、あの言葉を聞いてそう思った。
そう思ってしまった。
自分の意思であり、自分の意思じゃない言葉だった。
そう・・・まるで、ウサ吉の母親のような。
「まさか・・・ね」
ベンチから降りたウサ吉は私の足下にすり寄ってきた。
それを先ほどと同じように抱きかかえ、
「愛してる・・・」
と呟いてみる。
「・・・なぁんてね」
ウサ吉はあくびをすると、私の腕の中で夢の中へ墜ちていった。
END『ウサ吉とトラウマと!』