私の恋路
□ウサ吉とトラウマと!-新開-
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「う〜ん・・・。何だろうねぇ?ウサギに母性本能なんて・・・おかしいね」
真優は少し困ったように笑うと、わからないといったように首を横に振った。
「でも・・・ウサ吉もその母親も・・・。きっとオレを恨んでるんだろうなぁ」
オレが静かにそう呟くと、真優はウサ吉をベンチにおいて立つと、オレのに向く。
「なんでそんなこと言うの?」
「え?」
うつむいていた顔を上げると、真優は怒ったように、悲しそうに眉を下げていた。
「怒ってないよ。恨んでなんかない。むしろ感謝してるよ。帰りにあそこを通ってくれなくちゃ、ウサ吉は今も独りだった」
「・・・え?」
俺の手を優しく握ってかがむ。
オレより視線が低くなった真優は、とても優しい目で、まるで母親のように。
慈しむように微笑んだ。
「ありがとう」
そう静かにオレに告げると、はっとしたようにオレの手を離し、慌てて距離を取った。
「ご・・・ごめん」
「あぁ・・・気にしないでくれ」
少しだけ気が楽になった。
さっき頭をよぎった"もしかして"と言う考えを、
「まさかな・・・」
と呟いて消し去った。
side真優