私の恋路
□ウサ吉とトラウマと!-新開-
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「わーい!ウサ吉〜!」
自分よりだいぶ背の低い女生徒が自分の目の前を走って行く後ろ姿が見える。
「おいおい。走ると危ないぜ?」
制止する声も聞かずにウサギ小屋に駆け寄る真優。
真優と出会ったのは2年の後半頃だった。
ウサギ小屋で飼っているウサ吉にその母親のことを謝っているところを聞かれ、それ以来弱音を聞いてくれるかけがえの無い子になった。
「隼人〜!ウサ吉草食べてる〜」
「ウサギだからな」
"あ、そっか〜"そう言ってウサ吉に向き直る真優。
ウサ吉を抱きかかえ近くのベンチに座るとウサ吉の毛繕いをし始めた。
「もう暑くなってきたからね〜。抜け毛の季節ですね!」
謎の言葉を一人楽しそうに言って再び手で毛繕いをする。
ウサ吉は少し気持ちよさそうに目を細め身体をダランとさせた。
「ウサ吉がこんなに懐くとはな。こんなに早く懐くのは初めてじゃないか?」
「そーなの?私はね〜。初めてウサ吉を見たとき、母性本能・・・?って言うのかな。みたいなのがこう・・・。ぶわー!!って」
身振り手振りで必死に伝えようとしているが全く分からない。
「母性本能・・・か」