僕の選んだ人は・・・
□嫌よ嫌よは拒絶です!
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『いやあああああああ!!』
頭の中で女の悲鳴が聞こえ、目が覚める。
起き上がろうとしたけど、頭が痛くなってもう一度枕に沈めた。
そこではっとする。
何故僕は寝かされているのだろうと。
ようやく頭が機能しだし、視界もクリアになったところで考えてみる。
「保健室だ・・・」
見慣れないその白いカーテンと天井は学校の保健室の物だ。
一年生の頃、熱を出してここまで運ばれた覚えがあるから分かった。
しかし、何故保健室に?
そう思い、頭が完璧に冴えたところで感じる手と腰あたりの重み。
頭痛を我慢して起き上がってみてみると、らっきーがいた。
手を握られ、頭は腰のあたりで置かれている。
寝ているようだった。
そこで思い出すのは先程の腕の強さと、無理矢理されたこと。
慌てて荒北の手から自分の手を離すと、距離を取るようにベッドから降りた。
「んっ・・・」
荒北の口から低い声が聞こえ、さっきの出来事がフラッシュバックする。
分かっている。
荒北はさっきの怖い荒北ではないことは。
きっと大丈夫だってことは。
けれど、腕の痛みが、肩の噛まれた痛みが、下半身の中にある異物感が、身体を強ばらせた。
しかし、荒北は起きていないようだ。
涙がにじんで、どうしようもなくなる。
らっきーを信じたいのに、荒北が怖い。
同じなのに全然違うこの人が・・・僕は怖い。
「なんで・・・らっきー・・・」
僕は靴を履くと、静かに保健室を後にした。