僕の選んだ人は・・・
□部員は個性豊かなのです
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早朝、誰も居ない学校周辺をロードバイクで走る。
寮に入っても良かったのだけれど、あの家から離れることはどうしてもできなかったから。
ロードは選手になれるほど早いわけでもなく、趣味としてサイクリングをする程度。
特に寝坊しかけたときなどには少し飛ばすとちょうど良いくらいだから。
校門につくとまだ開いていなかったため、ロードから降りて片手で支えながら校門を力一杯押す。
「おっもい!」
朝も早いため、さすがに大声は出せないため、その分息を吐き出すようにして勢いよく門を開く。
「開いた開いた・・・」
特別痛めたわけでも負荷がかかったわけでもないけれど、気休めというか反射的に手首をプラプラと振る。
「おー。朝から早いねェ。雫チャン?」
嫌味ったらしい声が聞こえ、振り向こうとしたら、頭におおよそ一人で絶えられるはずのない重量がのしかかる。
「重い!らっきー!」
「ばっ!その呼び方やめろつってんだろォガ!」
顔を赤くさせ、僕から飛び退くと人の呼び方に文句を付けてくる。
"あらきた"だから。"らき"→"らっきー"。
なかなかのネーミングセンスだと僕は自負している。
それなのに文句を言うか!
ふてぶてしい奴め・・・。
まぁ・・・仕方が無い!らっきーは世に言うツンデレという部類に入る生き物だからな。
全く面倒な生き物だ。
「雫チャンさぁ・・・。そのネーミングセンスどうにかしたらァ・・・?」
「失礼な!いいじゃん!可愛いじゃんか!らっきー!」
「だー!その呼び方すんな!」
早朝だというのに全く迷惑な奴らだろう。
大声でギャーギャーと。しかも内容くだらなっ!
と思うほど傍迷惑な会話である。
「楽しそうだなぁ。オレも入れてくれよ」
バキュンポーズで相も変わらず暑苦しい顔で歩み寄ってくるそいつは、僕たちの部活自転車競技部のエーススプリンターだ。
ちなみにらっきーはエース補助。つまりぷくちーの補助役だ。