神獣は鬼神のもの

□何だかキザな言い方だけれども
1ページ/4ページ




「...良し!今日の仕事終わり!」

白澤はレポート用紙を持ったまま、大きく伸びをした。

研究内容を纏め終わるのが今日の目標だったので、其れを無事に達成出来た事に喜びを感じていた。

「白澤様もちゃんと真面目に仕事するんスね...。ちょっと見直しました。」

「酷い言われ様だな〜。僕はいつだって真面目だよ?ていうか見直される程評価低かったの僕って。」

「ええまあ。」

桃太郎は師匠の言葉に即答しながら、薬草を磨り潰している。

白澤は酷いなぁ、と呟きながら時計を見る。すると短い針が夜の1時に差し掛かろうとしていた。

「桃タロー君もそろそろ終わりにしなよ?睡眠不足は良くない。」

「はい。此れ作り終わったら止めます。」

薬草を磨り潰す、ゴリゴリという音が鳴り響く。

白澤は其の音が何故か心地好く感じていた。

すると突然、其の音に混じって違う音が紛れ込んで来た。

「おっと...電話だ。」

其処には鬼灯の名前が表示されていた。

「こんな時間に...どうしたんだろ?」

白澤は疑問符を浮かべながら電話に出る。

「鬼灯?」

「......」

「おーい」

「......」

「...聞こえてないの?」

「......」

「え、ちょ...ほんとにどうした?」

「......」


......此れは不味いかもしれない。

単なる悪戯とも思ったが、鬼灯がこんな下らない事をする訳がない。

考えられる可能性はひとつだけ。

「桃タロー君!僕閻魔殿に行ってくる!」

「分かりました。此れ、持って行って下さい。」

そう言って渡されたのは、持ち運び用の措置セット。

何も訊かずに此れを用意してくれた出来の良い弟子に感謝しながら、白澤は閻魔殿を目指した。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ