マヨネーズパフェ
□Fool 第一章"両想いだよな?"
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#土方視線
「御用改めである。真撰組だ!神妙にお縄に付けェ!」
刀を向けてくる攘夷士らを、次々と倒していく。
返り血を浴びながら、俺は江戸の平和の為に...否、真撰組の為に...今日も刀を振るう。
「副長!リーダー格と思われる男を捕まえました!」
「よし、二番隊は帰還し尋問の準備を、四五番隊は雑魚共の処理に当たれ!」
「「「はいっ!」」」
喜んでと言わんばかりの力強い活気溢れる返事を聞き、俺は自然と口角が上がった。
優秀な部下が居ることに、心の中で柄にもなく感謝をしながら。
「おーい多串くーん。」
ふとムカつく声が背後から聞こえた。
「...多串じゃねぇって何回言やぁ気が済むんだこの腐れ天パ。」
「そうカリカリすんなって〜。カリシウム足りてないんじゃないの〜?」
「喧嘩売ってきたテメェのせいだろうが!」
俺はこれでもかと万事屋を睨み付ける。
「おいおい、そんなおっかねぇ顔すんなよ。折角お前の愛しの銀さんが来てブフォアッ!!〜ってぇな殴るこたぁねぇだろ!!」
「うっせぇ黙りやがれ!!そのムカつく天パ引き千切ってやろうか!?」
「待てよ土方k痛い痛い痛い痛い!!ちょっ、離せ馬鹿っ!!」
若干涙目になって俺の手を振り払った万事屋を見て、内心安堵する。
こいつにはこれくらいやっておかないと、またさっきみたいに公の場でふざけたことを口にするだろうから。
「...で、何でテメェが此処に居やがんだ。その格好からして仕事か。」
「その通り。彼処ん家の屋根直してくれって言われたからやってたんだよ。いやぁ、本当にラッキーだった。面倒臭ぇ仕事だと思ってた所にタイミング良く土方が現れたからよ。もう銀さんテンション上がりまくっちゃったぜ。」
「...そうかよ。」
「相変わらず冷てぇな土方君よ〜。こうして会えるのは一ヶ月振りだろうが〜。何も思わねぇのか?」
「......別に。此方は仕事で忙しかったんだ。余計な事を考える余地も無かったからな。」
俺がそう答えると、万事屋は残念そうに肩を竦めて見せた。
「まあ良いけどよ...。ハナっから期待なんかしてねーし...。」
「随分と女々しいなお前。」
「ううううるせぇな悪かったな女々しくて!!」
万事屋は涙目を通り越して何故か半泣き状態だった。
「――土方十四郎っ!」
「っ!」
ガキンッ
横から突如現れた刀を、自分の刀ですんでの所で受け止める。
「...ハッ...この俺に不意討ちしようなんざ百年早ぇよ。」
敵の刀を流し、空いた腹に斬り込んだ。
「...おー、流石土方。」
「...テメェと話していたから反応が遅れた。俺はまだ勤務中だ、もう話す事はねぇ。じゃあな。...おい山崎!!車出せ!」
万事屋に別れを告げ、早足で車の方へ向かう。
「えっ、副長!もう話は良いんですか?」
「ああ、行くぞ。」
車に乗り込む際万事屋からの視線を感じたが、俺は一度も振り返らなかった。
今此処で振り向いてしまったら――寂しさが一気に溢れてしまうと思ったから。
「......ずっと会えなくて、何も思わない訳ねぇだろ...。」
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