焔血糜雄餓伝

□第3話 四季哀楽(Ver.邪)
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 とある場所。
 そこには、巨大なケースの中に保管された、紫の炎のようなエネルギーが揺らめいている。
 窓の無いその場所では、空模様から時間を窺い知ることができない。
 澄ました声が、怒りの色を含んで轟いた。
「何故ハングニルを遣った!」
叱責された鎖の神・ワルダークは、口をとがらせて言い訳をする。
「だ、だってぇ! ハングニルちゃん暇そうにしてたんだもの!」
「計画に支障があったらどうする!」
怒声を浴びてばつが悪そうな表情を作り、ワルダークは眉尻を下げる。しかしなお自己弁護する。
「で、でも、特に気にしてなさそうなんだし、いいんじゃないの〜……?」
相手の顔色を窺うワルダーク。陰の方から、はあ、とため息が聞こえてきた。
「……次からは気を付けろ」
「はーい!」
ワルダークは一転して元気よく手を挙げた。
 澄ました声の人物が、カッカッと音を鳴らして数歩歩く。そして、ワルダークの方へ振り返った。
「では、行ってくる」
「ミーがお膳立てしてあげたんだから、絶対に失敗しないでよね!」
「当然だ」
澄ました声の人物は笑みを湛えて、その場から瞬間移動した。
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