風漣堂小日記

□や、本編とは全然別物ですよ。
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◆がんばろうな◆
「依純、このあとちょっと付き合わないか?」
そう言って突然現れたのは、中学からの同級生で、なぜか今までずっとクラスが一緒な男の子、設楽悠平。こいつが結構なクセモノで、なんていうか、自分勝手でわがままで・・・まぁ要は性格が悪いのね。そのくせ結構ナイーブなもんだから、すごく扱いにくい・・・。顔は悪くないと思うんだけどね。そんな対象にはないかな。
「ん、別に暇だけど、どっかいくの?」
断る理由もないので、とりあえず内容を聞く。
「あぁ、ちょっと楽器屋に用があってな。ついてきてほしいんだ。」
うーん、楽器のことはよく分かんないんだけどなぁ・・・。ここで断るのもなんか悪いので、ついていく事にした。
「さんきゅ、助かるよ」
何がよ。あたし何にも役に立たないって。
「いいんだよ、付いてきてくれれば」
あっそう。まったく、なんて勝手なやつ。
不満に思いながらも、街の楽器屋を目指す。いつも通る道なんだけど、楽器屋さんなんて行ったことがない。だって音楽できないし。音痴だし。
「そういえばお前、明日客引きだろ?どんな格好してやるんだ?」
「どんな格好って、普段着みたいの着ていくつもりだよ」
あたしがそう言うと、悠平がプッと吹き出した。
「な、なにがおかしいのよ!」
自然と顔が熱くなる。いま赤くなってるんだろうな・・・。
「いや、何でもない。」
口ではそう言いながらも、手は口を押さえている。そんなにあたしの私服変なのかな。そんなこと言われたことないけどなぁ。
もう一言いってやろうかと思ったけど、残念ながら楽器屋に着いてしまったようだ。
「お、着いたか。」
そう言って、スタスタと悠平は中に入っていった。
楽器屋さんって凄い。いろんなギターが沢山並べてあって、格好いい。そしてみんな高そう。そんなことを思いながら、あたしは悠平から離れてギターを見て回る。
・・・高いのね。何よ、20万円って。高校生の金額じゃないでしょ。そもそもなんでこんな高いのよ。悠平はこんなものを買うつもりなんだろうか・・・。
あたしはギターコーナーから離れ、アクセサリーコーナーへと向かう。いろんな部品や、小物が沢山置いてあって、見ていて楽しい。
(あ、これ可愛いかも)
あたしが見つけたのは、金色で、ギターの形をしたキーホルダー。ストラップをひっくり返すと、裏側には文字が入っている。
【NO MUSIC NO LIFE】
―音楽がなければ人生もない―
格好いいじゃない。こう言うの好き。なんか一途、って感じがいい。
でも高いな・・・。2000円もする・・・。
そう思いながらキーホルダーを眺めていると、
「おーい、依純、ちょっと・・・」
そう言いながら悠平が手招きをしている。
キーホルダーを置いてその方向に行ってみると、悠平はギターを選んでいた。
「なぁ、お前はどれがいいと思う?」
そんなこと言われても・・・
「デザインとか、雰囲気でいいからさ」
うーん、よし。
「これが一番いいかな・・・。格好いいし、なんかおしゃれっぽいし」
悠平はあたしの指さしたギターを見て、ちょっと間をおいてから、
「よし、じゃぁこれにしよう。」
そういって店員に持って行ってもらった。
え?あたしの好みで決めちゃったの?
「な訳ないだろ。あそこにあったのは俺が選んだ奴。その中で決めらんなかったから、お前に選んでもらっただけだよ。お前に選ばせたらとんでも無いことになるぞ」
あ、そうなの。ちょっと安心。
ほっと胸をなで下ろし、悠平と会計に向かった。
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