風漣堂小日記

□雑貨屋〜良い品あります〜
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◆幻想雑貨屋風漣堂

『なぁ〜ぎぃ〜』
「んー?」
『んー?じゃねーよ!早く起きろって!』

今日は日曜日、世間は休みだってのに、朝から騒がしいのは凪の<式>、カガリだ。式っていうのは、<式神><識神>とも呼ばれる、霊とかそんな類のもの。使い手の実力や式の媒体の能力で姿や力も変わる。上手く扱えばこんなに頼もしい奴はいない。まぁカガリは別だが。

『客待たせてるんだから〜!』

「うぇ?もうお客さん来てるの?」

目の前で凪を急かす白い猫は、呆れたように玄関を振り向いた。そこに立っていたのは、20ちょっと過ぎたくらいの、若い女性だった。身長もそんなに高くなく、年齢よりも幾らか若くみえる。

「凪〜?まだ寝てんの〜?」

女性らしい高い声が慣れたように凪を呼ぶ。どうやら随分待たされたようで、多少イライラが見え隠れしていた。

「あ〜恭加さんですか。こんな朝から何用です?まだ何にも入荷してませんけど」

彼女の名前は設楽恭加。この店の常連さんで、ちょくちょく足を運んできては、新入荷したものを品定めしていく。見た目こそ若いが、実際はもう100を超えているだろう。なにせもう70年も通い続けているのだから。

「朝って…もう11時じゃないの。せっかくいい話持ってきてあげたのに、帰るよ?」
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