監禁迷宮

□助けられた代償
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・・・

「戻ってきた・・・」

塔の中
グウェンに消された服をまた身に纏い
何事もなかったかのように
レナは また、ここにいる

「幻じゃない、私の・・・記憶?」

今まで見てきたものを思い出し
レナなりの答えを 導きだす

そう思った方が納得がいくのだ

ただの幻覚じゃない
今まで見たもの
全て自分の魂が体感してきた事

それを見せられている

「でも、そうだったとして、どうすれば・・・」

塔を出れば、自由になれるのだろうか
自由って・・・?
全てが記憶なら
今ここに居る自分は、誰なのだろう

疑問が疑問を生む






「お兄ちゃんっ」

少し離れた所にレオの姿を見つけ、 レナは駆け寄った

目はあいているが、 レナを認識していないらしく
うずくまったまま、動かない

「お兄ちゃんっ、お兄ちゃんっ!!」
「・・・」

「お兄ちゃん!!」
「・・・ レナ 」

何度か呼んで
肩を揺さぶり、やっとレオは反応した

「 レナ 」
「お兄ちゃんも、何か見せられているの?」

「何度も何度も・・・酷いモノを見せられる、
俺は レナを守れなくて 」

「お兄ちゃん・・・」

レオは酷く憔悴している様子だった

いつもと違い、今回は レナがレオを抱き締める

「 レナ・・ 」
「早く、ここを出よう。お兄ちゃん」
「そうだな、早く出ないと・・・」


「ごめんな、 頼りない兄ちゃんで 」

「そんなことないよ、お兄ちゃんがいなきゃ、私・・・耐えられない」


「ありがとう、お兄ちゃん」
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