監禁迷宮
□分けられない身体
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リリリリリリッ
けたたましく目覚まし音が鳴り響く
あぁ、またお兄ちゃんとはぐれてしまった
どんな幻覚を見せられるのだろう
レナは起き上がった
「・・・」
かわいい・・・
ピンクが基調になった部屋
狭いが、女の子らしくて可愛い部屋に レナはときめいた
また、今までとは世界観からして違う
だが、なんだか落ち着く雰囲気だ
王とか兵士とかも居なさそうである
リリリリリリッ
「 レナ、夜更かしでもしたのか、起きろっ・・・って 」
「・・・お兄ちゃん」
リリ
「起きていたのか」
部屋に入ってくると、青年は目覚ましを止めた
レナは目を丸くさせる
青年は間違いなくレオだった
「お兄ちゃんっ」
また、一人幻覚を見せられるのだと思っていた
レオがいたという安堵から
レナは 抱き付いた
「ど、どうした、 レナ」
「お兄ちゃんだ」
「・・・」
塔に居たレオではないのは、なんとなくわかっていた
「どうした、怖い夢でも見たのか?、大丈夫だよ。もう大丈夫」
「お兄ちゃんだ、お兄ちゃんっ」
よしよし
と、頭をなでてくれる
間違いない、お兄ちゃんだ
レナは、ぎゅっと服にしがみついた
「朝食食べようか、学校行く準備出来たら降りておいで」
「うん」
パタンッ
学校・・・
レナは、クローゼットから制服を取り出し着替えた
これを来て学校に行くんだ・・・
覚えていないが、覚えているらしい
矛盾している
なんとも不思議な感覚だ
「わぁ、おいしそー」
「 レナと家族二人きりになってからは、兄ちゃんはもう主夫だらね」
「・・・いただきますっ」
両親はいないんだ
覚えているようで覚えていない
そもそも幻覚に"覚えている"なんて変な話である
「はうう、半熟卵ー。お兄ちゃんが作ったもの食べてると太っちゃうよ」
「ぽっちゃりしててもレナは可愛いよ 」
「嫌だっ」
なんてことない団らん
レナとレオも、 こんな感じだったのだろうか
ピンポン
「大和(やまと)が迎えにきたみたいだな」
「やまと・・・?」
「 レナの彼氏だろう?」
「彼氏?」
レオの表情が曇った気がした