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まさか世良ちゃんまでもが、ミステリートレインに乗車する事になり、驚きながらも子ども達が列車をバックに写真を撮りたいと言う事で、毛利さんも入れて写真を撮るために蘭ちゃんとコナンくんが探しに向かった
どうやらなんだかんだで、浮かれてるのは子ども達だけではなく毛利さんも一緒のようだ



「清華さんはもう体大丈夫なのか?」
『まだ足のリハビリはしてる最中だけど、走っても良いって言われてるから大丈夫!』
「リハビリしてるなら、走っちゃダメだろう!
たくっ!無茶ばっかしてるのは相変わらずだな!」
『そ、そうかな…?』
「そうなんだ!!ボクに頼れって言ってるのに、全然頼ってくれないじゃないか!」



そう詰め寄ってくる世良ちゃんに押されて、体が反る私は苦笑いを浮かべる
そんな私と世良ちゃんに、園子ちゃんがさらに面倒な事を話し出してしまった



「あれ?世良さん知らないの?
これから頼る人は、安室さんに決まってんのよ!」
「安室って…毛利探偵の助手だって言ってた男の事だよな?」
「えぇ!その安室さんから公開告白されたらしいから…
ねぇ?清華さん?」
『園子ちゃん、楽しんでるでしょ…』



年下にからかわれる私は、本当にいい意味で良い友達を持ったと思いながらも、ため息が出たのは言うまでもない
だけど、そんな私とは違って何故か考え事を始めた世良ちゃん
そんな世良ちゃんに疑問を持っていると毛利さんを連れた蘭ちゃん達が、戻って来た
子ども達が早く早くと急かすと毛利さんは、仕方なさそうに子ども達と並んだ
私は世良ちゃんと一緒に並んで、蘭ちゃんが子ども達のカメラを借りて駅員さんに写真をお願いする



「清華さんもまさか、一緒に行けるとは!いやー!この毛利小五郎の腕の見せ所ですなぁー!」
『毛利さんの推理楽しみにしてますね!』



世良ちゃんの反対に並んだ毛利さんと話していると、駅員さんが撮りますよー!と声を掛けてくれた
それに倣い定番のピースをした
シャッターが降りる音が聞こえて、写真を確認してから今度はスマホの方でもお願いしていたから、もう一回撮るのだろうと思っていると隣の世良ちゃんが肩を組んで来た
驚いて世良ちゃんを見ると、いつもの可愛らしい笑み浮かべて私を見つめていた



「今日は楽しもうな!」
『うん!世良ちゃんの推理も楽しみにしてる!』
「あぁ!楽しみにしててくれ!」



来るまではいろいろと何かに巻き込まれるんだろうと言う事で、少し気分が落ちていたけど遠出するのは久々だったから、なんだかんだで私も楽しんでるのだと気付く
それからそのまま肩を組んでいる状態で、スマホでの写メも撮ってみんな嬉しそうに笑っていた
駅員さんにお礼を言ってから、早速私達は列車の中へと乗り込む
それぞれに振り分けられた部屋に入り、私は蘭ちゃん達と同じ部屋で8号車に向かう
部屋に入ると内装の豪華さに、みんな感嘆の声を上げる
両サイドにあるシートに座り、鞄を棚に置いて内装をぐるりと見回す



「なんだかんだで、清華さんも楽しんでるんじゃん!」
『そりゃあそうだよ!
初めての列車なんだから!』
「楽し気な清華さんも愛らしくて良い!」
「お父さん…」
「!ちょっと言っただけじゃねぇーか…」



褒め言葉として受け止めるが、娘の目の前で言われるのはさすがに苦笑いしか出てこなかった
蘭ちゃんはギロリと毛利さんを睨んでいて、その視線に怖気付いた毛利さんが冷や汗をかいて身を固くする
そんな毛利さんに園子ちゃんは、私の隣に座ると私の肩に片手を置きニヤリと笑って口を開いた



「ダメダメ!清華さんには、もう先約がいるんだから!
安室さんにぶっ飛ばされるわよ?」
「安室?なんで安室が出てくるんだよ?」
「安室さんと清華さん付き合うのよ」
「な、なにぃぃいいいいいい!?」



何ともないように言う園子ちゃんに声を荒げた毛利さん
それから私へと向いて、安室はやめるべきです!と言って来た毛利さんに思わず苦笑いを浮かべた
蘭ちゃんが毛利さんをジトリと睨みながら、バキボキと手を鳴らし始めた
それを見た毛利さんは体をビクリと震わせて、冷や汗を流しながらシートへと座り安室なら安心だ!と繕ったように高笑いをした
そんな毛利さんを見てニッコリと笑う蘭ちゃんに、苦笑いを浮かべるのは言うまでもない
女は強しだと思っていると、ドアがノックされて誰だろうと思いドアに近い場所に座っていた私が、ドアを開けるとそこには誰も居なかった
首を傾げていると園子ちゃんが誰だったの?と声を掛けてきたけど、誰も居ないと伝えようとした時、足元に白い封筒が目に入った
それを手に取り、首を傾げながらも部屋に戻る



『ドアの前にこんな物が…』
「?封筒?」
「…あ!これってまさかミステリートレインの推理がもう始まるって事じゃない?」



園子ちゃんに渡すとどうやら彼女も何も知らないようで、毛利さんも首を傾げながら封筒を見ていると蘭ちゃんが閃いたとでも言うように声をあげた
その言葉を聞いて、園子ちゃんが封筒を開けて中身の内容を確認する
中には一枚のカードが入っており、そこには共犯者に選ばれた事と7号車のB室の被害者役の人と入れ替わって推理クイズを盛り上げてくれとの事だった
それにテンションを上げる園子ちゃんが、共犯者役なんてワクワクすると言って蘭ちゃんも頷いていた



『こんな風に推理クイズに参加するとは思わなかったなぁ〜』
「清華さんは推理したかったですか?」
『そりゃあね!
でも、初めて参加する推理クイズで共犯者役ってのも面白いね!』
「ちょっとちょっと!忘れてないでしょうね?!
安室さんと仲直りするために安室さんも呼んだんだから!」
「仲直り?」
『分かってるって…』



苦笑いを浮かべて返すとしっかりしてよ!という園子ちゃん
そんな園子ちゃんを宥めつつも、毛利さんに事情を話す蘭ちゃんに申し訳ないと思いながらも、荷物を纏めて4人で部屋を出て鍵を掛けた
その被害者役の人と入れ替わるために、通路を歩いて7号車へとやって来て、B室のドアをノックするとドアが開いた
そこにはお金持ちそうな男性が立っていた



「君たちが共犯者役かね?」
『あ、はい…
被害者役の方ですか?』
「あぁ、早速探偵役の子たちがやって来てね!」
『そうだったんですね!
じゃあ、早速ですけど入れ替わると言う事で!』
「あぁ、頼むよ」



通路へと出た被害者役の人と入れ替わりで、部屋の鍵を交換していく



「じゃあ、私達探偵役を騙しておきますね!」
「あぁ、頼んだよ
あー、それと!毛利さん!貴方には今回の推理の解説役として最後に食堂車で解説して貰うと、書いてあったので毛利さんには食堂車で待機して欲しいと…」
「え?そうなんですか!これは本職である私の出番ですな!どぅははは!」




そう言って7号車のB室の鍵を私に渡してくれた被害者役の人は、毛利さんへと言う
楽しそうに言って高笑いをする毛利さんに、頭を抱える蘭ちゃんは苦笑いをするしかなかった
前の車両へと向かう毛利さんと入れ替わりで、前の車両からやって来た世良ちゃんが私達に気付いた



「ん?その部屋は蘭くん達の部屋じゃないだろう?」
『いや、それがね…』



推理クイズで共犯者役として今から、7号車のB室で探偵役を騙してくれとの指示が出たことを伝えると、世良ちゃんも楽しそうだなと言って一緒に共犯者役として参加する事になった
被害者役の方と別れて、4人で7号車のB室に入る
自分達のカバンを棚に上げて、早速ゆっくりしながら話そうかと言う事になり、ポットの中身を見ればもうお湯が入れてあった
それに快くしながら紅茶のパックをティーポットに入れてお湯を注ぎ、紅茶の茶葉が開くまで待ちながら、園子ちゃんが怪盗キッドの事について語り始める
それはもうハートを撒き散らさんばかりに話す園子ちゃんには、毎度ながら圧倒されつつも見ていて飽きないなとも思う
話を聞いているとどうやらコナンくんは、キッドキラーとの事で園子ちゃんの叔父さまも一目置いてると言う
さすがコナンくんだなぁーと思っていると、世良ちゃんが紅茶が入ったティーポットを持って私達のカップに注いでくれた



『ありがとう』
「どういたしまして」



ティーポットを置いた世良ちゃんは、隣に座っていた私を見下ろして推理クイズについて詳しく知っているのかと聞いてきた
さっき8号車のB室に居た時に届いたカードを園子ちゃんが世良ちゃんに渡す
そのカードを見ている世良ちゃんに質問をする



『何か気になる事でもあるの?』
「…ううん、少し気になっただけさ」



そう言って微笑んだ世良ちゃんに、そっかと言うと突然ドアが開いて探偵役のお出ましだと思い、そちらへと向けばコナンくん達がそこには居た
一瞬驚いたけど、確かに大抜擢だと思いつつ驚いているコナンくん達に蘭ちゃんがどうしたの?と声を掛ける



「レディーの部屋に入る時はノックくらいしなさいよ!」
『まぁまぁ子どもなんだから…』



園子ちゃんを宥めているとコナンくんが戸惑いながらも口を開いた



「あ、いや…
ここって7号車だよね?」
「はぁ?」
「何言ってんだ?ここは8号車
たった今ボクが遊びに来たところさ」



園子ちゃんと世良ちゃんの名演技に翻弄されているコナンくん
何が起きたのか分からないと言うような表情に、上手く騙せたみたいだなと一安心する



「ねぇ、清華さん?」
『?ん?何?コナンくん』
「本当にここは8号車なの?」
『えぇ、世良ちゃんも言ってたじゃない
…本当にどうしたの?具合でも悪い?』



カップをテーブルに置いて、コナンくんの額に手を置いて熱を測ってみるが平熱に決まっている
そんな私に慌てて大丈夫だよ!それじゃあ行くね!と言って、出て行った子ども達
だけど、最後までドアの前から動かなかった哀ちゃんに目が止まり声を掛ける



『哀ちゃん?』
「……」
『…?』



不安そうに私を見上げたけど、何も言わない哀ちゃん
さらに声を掛けようとしたけど、歩美ちゃんが戻ってきて哀ちゃんに行こうと言うと私に気づいた歩美ちゃんがまたねと私に声を掛けた
哀ちゃんを連れて前の車両へと走って行った2人を見送りながらも、哀ちゃんの不安そうな表情に助けて欲しいと言うように見えたのは、考えすぎなのかと頭を悩ます








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