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ポアロでの一件以来、園子ちゃんと蘭ちゃんからは謝られるし梓ちゃんからは、謝罪とお詫びとしてパフェを奢って貰ったりと…
3人ともどうやら私が怒った事を相当気にして居たようで、むしろ私が大人気なかったと言って謝ったんだけど、どうやら3人とも恋バナでテンションが上がってしまったとの事
園子ちゃんはいつもの事だけど、蘭ちゃんも梓ちゃんも気にしないでと伝えると、胸を撫で下ろしたように小さく息を吐いて居た



「でも、なんであんなに怒ってたの?」
「ちょっと園子!もうそれについては!」
『蘭ちゃん、大丈夫だって
…うーん、なんて言うか……大人になると安室さんみたいな素敵な人と、お付き合いするってなるとつい怖気付いちゃうのよ
私なんかよりもっと素敵な人が居るんじゃないかって…』
「……清華さん…」
「……そんな……」
「そ、園子…?」



突然俯いたと思ったら、園子ちゃんはバッと勢い良く顔を上げたと思えば私の両手を掴んで顔を近づけて声を上げた



「そんな謙遜してたら、いつまでも幸せが逃げていくのよ!!良い??!!
女は追うよりも追われる愛の方が幸せなの!!」
「園子!声大きい!」
『だ、だから、園子ちゃん?』
「安室さんにコクられたのなら、それを受けるべきなのよ!
あんな顔面偏差値150みたいな、イケメンそうそう居ないんだから!」
『顔面偏差値……』



確かに安室さんは、ポアロでも女性客からモテモテなようで、さっきからこの店に居る女性客からの視線が痛い
園子ちゃんの声の大きさと言うのもあるだろうけど、2つの意味で相乗効果が働いている
園子ちゃんは園子ちゃんなりに、私と安室さんの関係を応援してくれているんだろうけど…
嬉しいけどさすがにここまで注目されるような応援は、少し控えて欲しいとも思う
あまりの勢いに思わず身を引いてしまう私に、さらに詰め寄る園子ちゃん
そんな園子ちゃんを止めてくれたのが蘭ちゃんで、詰め寄ってきて居た園子ちゃんの体を引き戻してすみませんと謝る蘭ちゃん
大丈夫だよと蘭ちゃんに苦笑いを浮かべていると、園子ちゃんは安室さんが出勤して居ない事を良い事に、いかに安室さんと言うイケメンが貴重な存在かを熱弁して来た



「園子!もう清華さんに迷惑だから!」
「良い?!ミステリートレインが最後のチャンスなんだから!」
『えっ!?あ、安室さんもミステリートレインに行くの?!』
「あったりまえじゃない!?
ちゃんと安室さんと話し合って、付き合うとか付き合わないとかの前に!
まずは、清華さんの気持ちを話さなきゃ!
何か理由があるなら、考えてるだけじゃダメ!
ちゃんとその理由も話して、自分の気持ちも伝えなきゃ!」
『……』



凄く真っ直ぐな園子ちゃんに、またもや押され気味の私は何も言えず瞬きするだけだ
青春をしている彼女らしい言葉で、羨ましく思う自分がいる
そんな風に何も考えずに話せる関係だったら、良かったなと思いながらも園子ちゃんは私と安室さんの関係を応援してくれている
それがなんだ嬉しく感じた
フッと笑いが漏れて、ありがとうとお礼を言うと胸を叩いて、フンッと鼻息を吐き自慢気に"ドンと来いっ!"と言った園子ちゃん
どうやら私の気持ちはお見通しのようで、鋭いんだかそうじゃないんだか分からない子だと思う



ポアロでの園子ちゃん騒動があってから、2週間経った土日
ミステリートレインに今日は乗車する日だ
旅行気分でと行きたいけど、安室さんこと降谷が関わっていると言う事は何かがあるのだろうと言うのは、降谷が関わって来た時点で疑っていた
服もそれなりにおしゃれして行きたいと思っていたけど、何が起きるか分からないと言う事で動きやすさを考えて、トップスは白のドレープブラウスで袖の部分にレースがあしらわれた物に下はジーンズのスキニーにローヒールのストラップパンプス
そんな私を見た園子ちゃんが、子ども達に聞こえないように小声で話しかけて来た



「なんでもっと露出した服着て来なかったの?!」
『いや、そんなに露出するような年齢じゃないし…』
「あのねぇ〜…」
「園子!」



蘭ちゃんが止めに入ってくれた事で、熱弁を語る園子ちゃんから逃げられた事に感謝していると、子ども達が私達のとこへと近付いてきた
その子ども達の後ろには、恰幅なお腹をした白髪の老人と隣には哀ちゃんが居た
私に抱きついて来た歩美ちゃんを受け止めながら、同じ目線になるようにしゃがむ



『歩美ちゃん、おはよう』
「清華さん、おはよう!
あのね!この前入院してるときにいってた、阿笠博士を連れて来たよ!」
『ありがとう、歩美ちゃん』



歩美ちゃんの頭を撫でると嬉しそうな顔をする
そんな歩美ちゃんを可愛いなと思いつつ、阿笠博士へと視線を上げて立ち上がると自己紹介をしてくれた
それに倣い自己紹介をすると、優しそうな笑みを浮かべる阿笠博士



「子ども達から聞いてますぞぉ
優しくて強くて綺麗なお姉さんじゃと」
『あ、あはは…
あ!この前はコナンくんの誘拐事件で、手助けして頂きありがとうございました』
「これは律儀に」



会釈すると阿笠博士も同じように会釈を返してくれた
そんな会話をする私と阿笠博士を見て居た子ども達が、2人とも固いと言われてしまった
挨拶とお礼はちゃんとしなきゃダメなのよと言うと、大人って面倒なんだねと返って来てしまい思わず苦笑い



「じゃがぁ、コナンくんも無事じゃったし!
もうその話はこれっきりにして、ミステリートレインを子ども達と一緒に楽しんでくれんかのぉ?」
『もちろん!』
「清華さん!早く早く!」



歩美ちゃんが私の手を掴んで、走り出した
焦らなくても大丈夫だからと言っても、テンションが上がっている子ども達は一緒になって走って駅のホームへと向かう
後ろから哀ちゃんと阿笠博士が気遣う声が聞こえたけど、子ども達は生返事だけでもう列車が見たくて仕方ないのだろう
ホームに着くと歓声を上げる子ども達に哀ちゃんが、ロマンが詰まった機関車を現実的に説明している
見てくれと中身は仕方ないだろうなと思いつつ、聞いていると哀ちゃんが咳き込んでいた



『哀ちゃん、風邪?』
「え、えぇ…
誰かさんの病原菌がしつこくて」
「だったらウチで寝てろよ…」
『まぁまぁ…
それよりコナンくんも風邪引いてたの?
病み上がりならあんまりはしゃいじゃダメよ?』



マスクをした哀ちゃんを心配して、声を掛けたらコナンくんへの嫌味を溢す哀ちゃん
そんな哀ちゃんにコナンくんは、また嫌味で返すから間に入り、どうやらここ数日の間に風邪を引いていたコナンくんから風邪が移ったとの事
心配になりコナンくんに注意すると、苦笑いを浮かべつつ頷いた
それから哀ちゃんにも注意していると、園子ちゃんが子ども達に特別に招待した事を感謝しなさいよと言って、子ども達は素直に返事をした
私と蘭ちゃんは苦笑いで笑いあっていると、園子ちゃんが私に手招きして来た
なんだと思い園子ちゃんに近付いて耳を貸す



「後から追加で安室さんも招待したから、部屋は離れたけどちゃんと安室さんの部屋に行くのよ!」
『えぇ!?それもう明らかに話が重い感じになるじゃない!?』
「バカね!そこはあの安室さんなんだから、胸に飛び込む勢いでそのまま抱き付けば良いのよ!」
『…いや、突然抱きつかれても"大丈夫ですか?"で終わりそうなんだけど……』



突拍子も無い行動をして、安室さんにこの前の事への釈明をと園子ちゃんは言ってくれるが、突然抱き着くと言うのはなかなかにしないと思うのだがと苦笑い
だけど、園子ちゃんはどうやら少女漫画のような展開に頭が切り替わっているのか、私の言葉など聞こえていないかのようにその続きを手振り身振りで話してくれた
ポジティブの塊のような園子ちゃんに、ついて行けず苦笑いを浮かべるだけで、蘭ちゃんが止めに来なければ止まらなかっただろう



「もう園子!安室さんとの事は清華さん本人が決める事だって言ったじゃない!」
「だってー!」
「だってもないの!
清華さんも気にしないで下さいね!」
『ありがとう、蘭ちゃん』



その元凶である本人はまだ見えないから良いけど、これで園子ちゃんの前に現れてたら強行突破されていただろうと思うと、いくら降谷とは言えこの前の事があっての今日だから気まずいには変わりない
気にするなと言われても、やっぱり気になるのは仕方ないけど、降谷が探りたい人物は多分沖矢さんだ



助けてくれた恩人を売るのは良心が痛むけど、私も彼は一体何者なのかは気になる…
ただの一般人とは言えない人だとは、前から思っていた



そう考えていると誰かに私の手を握られている事に気付いて、視線を下に向けると私を見上げる哀ちゃん



「大丈夫?」
『あ、うん…』
「…?どうしたの?」
『うーん……ねぇ、哀ちゃんってお姉ちゃんって居る?』
「……いいえ、居ないけど」
『そっかぁ…』



確かに知り合いと似て居るはずの哀ちゃんに、姉が居ないか質問したけど居ないとの事
明美は元気にしているだろうかと思っていると、園子ちゃんがテンション高めに"怪盗キッドに会えるのよ!"と言って、私の肩に両手を置いて上下に振る
その元気な園子ちゃんに振り回されている私を、蘭ちゃんが止めようとしてくれいる
そんな私の後ろで、コナンくんが怖い顔で哀ちゃんに質問していたとは知らず…



「おい!灰原!清華さんとおめぇーのお姉さんって…!」
「…えぇ、友人だったのよ
と言っても、お姉ちゃんは警察組織の情報を探るように組織に命じられて清華さんに近付いたんだけど、あの人の正義感と素直な性格に絆されて組織の命令に従いながらも、あの人とは友人として接してたみたいよ」
「……」
「これで清華さんが、黒の組織とは関係ないって分かったかしら?」
「疑ってたの知ってたなら、早く言えよな!」
「あら?それでも分からないって言って、人の話聞かずに疑ってたのはどこの誰よ?」
「…っ……」
「これに懲りて彼女の事、信用しなさいよ?」



そう言うと灰原はしたり顔で言うとコナンへと視線を向けた
そんなコナンは清華と灰原が一緒に居る場面を思い出す



「…だから、清華さんにやたらと懐いてたのか…」



一言こぼして片眉を上げて微笑むコナン
そんなコナンに一瞬面食らったような表情をした灰原だが、少し赤い頬でそっぽを向いて"そんな事ないわよ!"と言った
和やかな空気の中、清華達から聞こえた声で灰原とコナンは警戒心を強める事になった



『世良ちゃん!?』
「世良さん!どうして!」
「ここに居るの?!」








end
どうも管理人です。
これまた今更の裏設定なのですが、園子と安室さんが面識があるのは本来アニメではミステリートレインが初対面なのですが、園子には主人公と安室さんのキューピッド役として、早々と接点がある設定にしてあります。
ゴリ押しの園子に押される形で、安室さんとの今後の展開をお楽しみ下さい^ ^
そして、当初から主人公は交友関係が広いと言う設定なので、哀ちゃんのお姉さんとはお知り合いです。
騙されてるのは何となくわかりながらも、何か事情があるのだと分かるとお人好しな主人公は救おうとするような刑事時代だったと言うのが、管理人の思い描く主人公です。

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