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「えぇっ!!??コナンくんが!!」
『うん、多分あの子の事だから着いて行っちゃったんじゃないかって…
だから、前に言ってた追跡眼鏡?だっけ?
それを持ってるのなら、コナンくんがどこにいるか教えて欲しくて…』
「それが、その…追跡眼鏡は私じゃなくて、阿笠博士が持ってるんです」
『阿笠博士?』




聞いた事があるような名前だなと思いつつ、蘭ちゃんに阿笠博士に連絡を取って貰えるようにお願いして、電話を一旦切ると毛利さんのケータイが鳴った
画面を見た毛利さんが驚いたように声を上げた
どうやら樫塚さんからメールが届いたようで、コナンくんは警察に通報しない限り安全だとの事だった




『……』




やっぱりコナンくんには無理をさせるべきじゃなかったと今更後悔する
彼なら大丈夫だと思っていたけど、やはりこんな風に脅迫状が来てしまうと不安になる
だけど、此処でジッと待ってるわけにはいかない
とりあえず、何かしなければ樫塚さんがなんでこんな事をする事になったのかを突き止めないと、この事件は終わらない気がする…
そう思い、安室さんと毛利さんがお互いに推理し合っている中、私は無言のまま寝室から出る
何か手がかりになるものはと思いつつ、人の生活スペースを覗くには衣服や靴などと言った身に着ける物を調べた方が良いかと思い、脱衣所のとこに入った
タンスと洗濯機を開くと下着類や衣服などは全部男性物だった
玄関先に戻り、下駄箱を覗けばここも男性物しかなかった




これで完全に樫塚さんの家じゃないって事が分かったわね…




一人そう納得してから、この家の家主はおそらくあの亡くなった小柄な男性か或るいは兄だと言っていた男性だろうと、廊下で一人考えていると私のスマホが鳴った
もしかしてと思い、スマホを取り出して通話ボタンをタップして耳に当てて、コナンくんと言おうとした声はかき消された




「なんで電話を切るんだよ!!僕が嫌いなのか!!??」
『せ、世良ちゃん…
ゴメンって…盗聴器が仕掛けられてたから、それで調べるために切っただけだって!』
「!!盗聴器?!
清華さんたちは大丈夫なのか?」
『それが…』





仕方なくコナンくんが誘拐されてしまった事とそうなってしまったいきさつを、毛利探偵事務所で起きた事件から話す
彼女なら私たちの力になってくれるだろうと思い伝えると、どうやら世良ちゃんもコナンくんはもう犯人が誰なのか分かっているのだろうと推理する




『だと思う…
そうじゃなきゃ、あの子着いて行かないだろうし…』
「とにかく、僕もそっちに向かうよ」
『うん、お願いしても良い?
もしかしたらの事を考えたら、なるべく人は多い事には越したことないから…』
「あぁ…
それに、小五郎さんの弟子って言う探偵にも会ってみたいしな…」





その言葉に思わず後ろを振り向きそうになったけど、それを堪えて視線だけに留めた
もしかしたら、降谷が潜入捜査している事で少なからず危険が生じているのは分かっていたけど、コナンくんたちの周辺で何かあるのか?と言う考えが過りながらも電話を切る
そんな考えを巡らせていると、いつの間にか安室さんが私の後ろに居たようで声を掛けてきた




「清華さん?」
『!!あ、安室さん…(心臓に悪いよ、気配無く近づいてくるなんて…)』
「何か見つけたんですか?」
『え!あぁ、はい
脱衣所と下駄箱を見て来たんですけど、どれも男性物しか入ってなかったんです』
「男性物だけですか…」




呟きながら考え込んだ安室さんは、リビングへと振り返った
そのリビングへと向かっていった安室さん
リビングに何かあっただろうかと思いつつ、私もリビングへと向かう
中に入ると安室さんは、テレビを付けていた




『?テレビに何かあるんですか?』
「人の好みや気になる物って意外にこういうところからでも、分かったりするんですよ」
『あー…好きなテレビとか…』
「気になるニュース…とかですかね?」
『?ニュース?…
え…って、まさか…』
「えぇ、僕の予想ではそのまさかだと思ってますよ」
『……』




ここ数日ニュースでは、ある事件がひっきりなしに騒がれていた
それは、強盗事件だったのだが勇敢な銀行員が立ち向い、その銀行員が亡くなってしまった事件
それは確か、小柄な人と細い人とがっしりとした人が監視カメラに映っていた映像だったはず…
その一人があの小柄な人だったらと思えば、あのがっしりとした人は毛利探偵事務所で自殺した人だと言いたいのだろうかと思い、安室さんを見れば彼は録画リストを開いていた
そこには、監視映像の部分だけ切り取って残されていた




……もしかして…樫塚さんは…




それならば、尚更あの二人が危ない事に気付く
被害者遺族か或いは強盗犯たちなのかは、まだ分からない
でも、もし被害者遺族なら尚更あの二人が危ないと内心焦る




「清華さん」
『!あ、はい?』
「大丈夫、落ちついて下さい
圭さんもコナンくんも大丈夫です
僕たちは僕たちで推理して、彼らに追いつけば良いんですから」
『……そうですね』




眉がハの字になっているのは分かっていたけど、無理にでも微笑んで返さないとって思った
安室さんの口調で言っていたけど、降谷は落ち着けと言っているのだ
冷静さを無くしたら、ダメだと自分に言い聞かせる
それから安室さんが、毛利さんをリビングに連れて来て録画されていた番組を見せて行く
すると、そこには樫塚さんが兄だと言ってた人が亡くなったと言うニュースが流れた
だが、その兄だと言っていた人の名前が違うと毛利さんが言う





『それじゃあ…樫塚さんが強盗犯?』
「そうだとしても、なんで兄だと言う必要が…」
「どちらにせよ、こんなニュースやワイドショーをわざわざ録り溜めていると言う事は、よほどの犯罪マニアか犯人に復讐を目論む被害者遺族か…
もしくは、強盗犯本人と考えた方が自然ですよね」
「た、確かに…」





毛利さんが思わず納得した声を聞き、安室さんは後は寝室を調べましょうと提案してきた
それに続いて、寝室へと毛利さんたちが向かう
私も続いて部屋から出て、寝室へと入って行く
寝室に入れば、さっきまでの強烈な腐敗臭が薄まっていた
それにホッとしつつ、部屋を見渡していると毛利さんがパソコンへと興味を示し、椅子へと座り電源を入れた





パソコンって基本的にパスワードかかってるからなぁ…





内心パソコンを起動させても、中身が見れるかどうかと思いつつ見ていると、やっぱりと言うべきか毛利さんはパスワードがかかっている事に落胆する
そんなに落胆しなくてもと思っていると、安室さんがかがんで何かを発見したようだ
それに首を傾げていると、安室さんは適当なパスワードを入力しようとする毛利さんへ質問した




「あー、お二人はパスワードとかどうされてます?」
『普通で言えば…生年月日とかですかね?』
「俺は"小五郎さん"で"5563"だが」




え…まんま言っちゃったけど、良いんですか?




と内心毛利さんに驚きつつ、思わず毛利さんを見てしまったが、安室さんは気にする事もなくとても覚えきれない長いパスワードの場合だと言った
それを聞いた毛利さんは、デスクの側面を触りながら紙に書いたパスワードを貼ると言いたかったのだろう
側面にはその紙があったようで、パスワードゲットだぜなんて言う
すかさず安室さんがさすがですねと褒めるもんだから、乗ってしまう毛利さん
毛利さんの乗せられ具合に少し心配になりながらも、どうやらあくまでも安室さんは自分が解くと言う派手な事はせずに誘導させて様子をうかがっているのだと気付く




だけど、一体誰を…




降谷の仕事は邪魔をしないと言ったけど、さすがにここまで来てしまうと気になってくる
だけど、あまり詮索しても彼の仕事の邪魔になるから、今はコナンくんと樫塚さんの事を最優先に考えなきゃ…
気持ちを入れ替えて、パソコンの画面に映し出されたのはデスクトップではなく開かれた状態のファイルが映し出されていた





「おいおいおい!
こいつぁこの前の銀行強盗の計画書じゃねぇーか!」
「大胆にも三人揃って拳銃を持ってる写真まで載せてますねぇ」
『…真ん中の男は、確か毛利さんの事務所で自殺した人でしたよね?』
「右端の男はスーツケースに入ってた男だ!」
「じゃあ、左端の女性がもう一人の強盗犯でしょうか?」





画面のタスクバーにはインターネットも開かれていたようで、どうやら電源は切れていたのではなくスリープ状態だったのだろう
そう考えると彼女は、やはり被害者遺族なのだと察した





被害者遺族…なんて言われたくない言葉ね……




自嘲気味に考えていると、どうやらその強盗犯の女性の住所が載っていたようで、安室さんに腕を掴まれてやっと考えにふけっていた事に気付いた




「大丈夫ですか?清華さん」
『え、えぇ…すみません、考え事をしてたので…』
「大丈夫ですか?あまり無理しないでください」




私の異変を察知したのか、安室さんは私の腕から手を離さないまま玄関へと向かった
玄関に着けば、毛利さんが待っていて私の腕をつかむ安室さんを見て、わめき始めたのでさすがにご近所迷惑ですよと言う意味で、シーっと口の前に人差し指を立てて騒いじゃダメです!と小声で言う
すると、それになぜか絆されたのか毛利さんは黙ってくれた




『…?(え、なんか子供っぽかったかな…?)』
「…(はぁー…分かってない、このバカ)」
「…(すっごくギャップが…またそれも良いっ!!)」




三者三様にそれぞれ思うところがあったとは、この時の私は知らずに子供っぽい部分が出てしまった事に、大人っぽいイメージをと作っていた自分のイメージが崩れた気がして内心落胆するのだった











end

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