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□初恋を知る
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*方言に疎いので不自然なところが度々あると思いますが、ご了承下さい。




今日は珍しく東京に平次が来ると言う事で、私の弟である新一ことコナンから連絡が来た



「服部が東京に来るみたいなんだ
だから、姉ちゃんも来て欲しいんだけど…」
『…何か裏あるんじゃないでしょうね?』
「!んなもんねえって!」
『……』



コナンがこう言う間を取ると言う事は嘘をついているのを知っている
新一は昔から嘘つくのが下手だ
何か裏があるんだろうと思って来てみれば…



「なんで俺と琳を置いて行くんや、あの阿保…」
『と言うか、なんで私と平次なわけ?』
「文句あるんか?」
『いや、だってここは普通に和葉ちゃんじゃないの?』
「なんでここで和葉が出てくるんや…」



嫌そうな顔をして、私を睨む平次
先ほどまで和葉と蘭とコナンも一緒に居たんだけど、何故かあの3人はここから別行動しようと言い出して、私と平次を置いて行ってしまった
私と平次は置いてきぼりをくらったも同然で、ポカンとしたまま3人を見送ったのだ
隣にいる平次を見れば、ジトリとした目で私を睨んでいる



『だって平次は和葉の事好きなのに、私と居ても和葉とは進展しないでしょう?』
「!!だ、誰があんなガサツな奴好きになるねん!!俺はな!!」
『?俺はな?』
「っ…お、……っ〜〜!!
だぁーっ!!もうええわ!!」



先の言葉が何なのか分からなくて聞いたのに、なんで平次が怒るのか分からなくてズカズカと歩き始めた彼の後を追う
なんでと聞くのもまた平次を怒らせるだろうと思い、黙ってついて行く事にした
先を歩く平次について行くけど、東京の事はさっぱりだからすぐに足が止まる
そんな平次を見上げつつ、小さくため息を吐いてから私が先導する



『じゃあ、ド定番の観光地案内してあげる』
「お、おう…」
『?何?』



振り返って案内すると笑顔で言ったのに、何故か視線を外しながら頬をかいていた
平次の態度が明らかにおかしい事に眉を寄せていると、なんもあらへんと声を上げるだけで詳しい事は言わない



思春期の男の子はわからんものだ…



そう思いながらも、まともな恋愛をしなかった自分が言えた義理ではないけれど…
ほとんど家に居なかった両親に代わって、新一の面倒をあれこれと見て居たのもあって恋愛には無頓着で、思春期である彼らの恋愛相談には力になれないだろう
それに悪く思いながらも、まずは私の大好きな場所へと向かう
地下鉄に揺られてやって来たのは浅草寺




『ねぇ!ここのおみくじ引いていかない?
浅草寺のおみくじは、他の寺よりも"凶"に当たる確率が高いって有名なの!』
「なんでそんな確率の高いもんをやらなあかんねん!
縁起悪いっちゅうねん!」
『えー…それも、旅行の醍醐味でしょ?』



現実的な考えと言うか、私が誘う事には否定的なことが多いのは前から分かっていた
それなのに、どうして新一は私を誘ったのかが分からない
平次はあまり私を良いようには思っていないのだろう
新一と仲良くしてるからなのか、それとも和葉との仲を進展させなければならないのに、私と行動しなければいけない事が多いからなのか…
まぁそれは多分新一と蘭が仕組んだ事だろうけど…



『…はぁー……じゃあ、新一達に連絡して合流するようにしようか?
私と2人じゃあ平次は嫌みたいだし』



そう言って取り出したスマホで、新一に電話を掛けようとしたらその腕を掴まれて、突然歩き出した平次に引きずられるように歩く
新一へと掛けようとしていたスマホを平次は、取り上げてしまい前を見たまま声を上げた



「お前は"新一新一"煩いんじゃ、ボケ!!
今日くらい工藤から離れろアホ!!」
『えぇ?!私そんなに新一の事呼んでた?』
「っ〜!!お前はボケナスか!!
困ったら"新一に聞く"っちゅうのを辞めろや!!」



そこで初めて自分が困った時は新一に聞いていたのだと知る
いつも新一と一緒だし、家族だから当たり前のように困ったら新一に聞いていたし、その事に突っ込まれる事もなかったから尚更だ
だけど、よく考えたら平次と居る時は大抵こんな態度だから、どうすれば良いか分からず新一に電話してばかりな気がする
仲が良いのはやっぱり新一だしと思い、ついつい電話してしまっていたけど厄介払いしているような態度に見えても仕方ないかもしれない



『ごめん…』
「…っ……分かったんならえぇわ…」
『……』



黙って私の手を掴んで前を歩く平次
何処に向かっているのか分からないけど、キョロキョロしつつも何処か目的の場所があるのだろう
何処に行くのかと思っていると、とあるビルに私の手を引いて入って行く
こんなところに何の用なのかと少し焦るけど、3階まで上がって飾られたドアを見て、そこがどんな店なのか分かった



『うさぎカフェ…?』
「好きなんやろう?工藤から聞いたで」
『……ふふ、聞いてくれたんだ』
「阿呆!たまたまたや!」
『…ありがとう』



どうやら私は、勘違いをしていたみたいだ
平次は私の事をあまり良く思っていないと思っていたけど、優しくするのが苦手なだけなのかもしれない
新一と一緒で不器用な優しさとでも言うのだろう
それがなんだか似た者同士だなと思うと、微笑ましく思えて…
お礼を言うと平次はプイッとそっぽを向いてしまった
平次は平次なりにいろいろと考えてくれてたのかなと思うと、自然と平次の手を掴んで店の中へと進む



「お、おい!」
『ホラ、早く行こう!』
「あんま走んなや!」



ブツブツと文句を垂れつつも、受付で前払いの二時間制になっているとの事
うさぎと触れ合うには、オプションを付けての料金になるとか…
せっかくだからうさぎとの写真と抱っこのオプションを付けて、支払いを済ませるとうさぎがそれぞれの部屋に分けられている
どうやら種類や性格によって、ケンカしやすい子達がいるからだとか
右側のドアを開けて中に入ると早速、こちらへと駆け寄って来たうさぎが何匹か居た
どうやらドアが開いた事で出ようとしたのだろう
それを阻止するかのように一番手前に居たうさぎの頭を撫でる
すると、それに気を良くしたのかそこで大人しくなった
平次を見るとドアから出ようとしていたうさぎの頭を撫でて、ドアの前を塞ぐようにしゃがんでいた
うさぎを撫でる平次の顔を見て、優しい表情だってするじゃないと安心したのは言うまでもない
すると、私達のところにスタッフさんがやって来て、出ようとして居た二匹を見てお礼を言われてしまった
それからも、うさぎを抱っこさせて貰ったりうさぎと一緒に写メを撮って貰えたりと、うさぎとのふれあいが堪能出来た
すると、写メを撮ってくれたスタッフさんが平次を見て、口を開いた



「彼氏さんも一緒に撮りましょうか?」
『えっ…?』
「なっ?!」
「え?」



私の声と平次の声が重なり、それに驚いたスタッフさんの声が最後に上がった
どうやらスタッフさんには私と平次は恋人同士に見えたみたいで…
思わず私と平次で顔を見合わせるけど、先に顔を背けたのは平次だった



「そ、そんなんとちゃうわ!俺とコイツはただの友達や!」
『彼氏とかでは…』



平次は気付いているだろうか
久しぶりに会ったと言うのに、私の事は"お前"とか"コイツ"呼ばわりで、ちゃんと名前で呼んで居ない
それがなんだか腹が立って来た
それに私を指差しながら、コイツって……私はアンタの手下かっての!と内心でこぼしながらも、スタッフさんには非がないから極力笑顔で返した
スタッフさんも友達だと返ってくると思わなかったのか、すみませんと慌てて謝罪した



でも、せっかく来たのならツーショくらいは欲しかったかな…



そう思いながらも、平次の様子では無理だろうと思い小さくため息を吐く



「琳…」
『えっ?』



名前を呼ばれた事に驚いていると、平次に肩を押されて後ろのソファーへと座らされた
何をするのか分からず瞬きをして、平次を見上げていると先ほどのスタッフさんに、うさぎを私の膝に乗せても良いですかと聞いていた
それに大丈夫ですと答えたスタッフさんから、うさぎを抱っこして預かった平次は私の膝にそのうさぎを乗せた



「えぇか、撫でて大人しくさせとくんやで?」
『う、うん…』
「ほな、ツーショお願いしてもえぇか?」
「あ、はい!大丈夫ですよ!」
「よろしく頼むわ!」



そう言って、平次は私の隣へ座ってソファーに上がっていたもう一匹のうさぎを自分の膝に乗せて、私との距離を縮めて来た
こんな風に近付いてきたのは、初めてではないだろうかと考えてしまうと思わず顔が熱くなって、平次ばかり見てしまう
すると、そんな私に気付いた平次が私に振り向いた



「ちゃんとカメラ見な、スタッフさんも撮れへんやろ?」
『う、うん…』



そう言って、カメラに向かってピースする平次だったけど、耳の赤さに気づいていた私は平次の不器用な優しさに気付かされてしまった



私…平次の事……



叶わない恋だと知りながらも、気付いてしまった自分の気持ちにもどかしさを感じた






end
新しい映画が公開されましたね〜。
管理人はもともとは平次が1番好きだったのですが、まさかの安室さん登場で1番を彼に譲る事になってしまったわけですが…。
私は色黒好きなのか安室さんと平次が大好きなんですね。友達にも色黒好きなのは意外だわって言われてしまいました。
ですが、そんなのにも負けずに平次と安室さんの活躍を楽しみにして、新作の映画を観に行きます!


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