シンタロー総受け
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シンタローさんのお母様は本当に神だと思う。
シンタローさんは勿論天使なのだが、それもお母様あってこそ。
だってこんなシチュを用意してくれたのだから。
「セト君、シンタローの事、頼んだわね」
「任せて下さいお母様。シンタローさんは俺が守ります」
玄関でお母様とキサラギさんを見送る。
大層な旅支度っすね。
なんでも温泉に行くらしいっす。
しかも、明日の夜まで帰って来ないらしい。
そう、今夜。俺とシンタローさんは2人きりなんすよ!!
「エネちゃん、ほら、行くよ?」
キサラギさんのスマホに居着いたエネちゃんは悔しそうに袖を噛んでいた。
「くぅぅぅう...!このおいしい展開を見逃すなんて嫌です!!私も残ります!」
「駄目だよエネちゃん!人の恋路を邪魔する奴は紅鮭ちゃんにドロップキックされるんだよ!」
え、鹿じゃないんすか!?
「何ですかその肉体のみならず精神に多大なる影響を与えかねない制裁は!!紅鮭ちゃんにどんな能力が秘められているんですか!!」
シンタローさんは呆れ果てているけれど、内心突っ込みたくてウズウズしているっすね。
「...早く行けよ、お前ら...」
「シンタロー、お土産は何がいい?」
お母様が言う。キサラギさんは言うまでもなく紅鮭ちゃんを買ってくる気満々ですね。
「昨日も聞いたよそれ。別に何でもいい」
「欲しくはあるんすね」
素直に欲しいと言えないシンタローさん。
するとお母様がにっこりと微笑んだ。
「相変わらずツンデレね」
お母様、それは貴女が育んだ立派な素質です!!これからもシンタローさんをよろしくお願いします!!
「母さんに変な言葉教えたの誰だお前かモモ」
「あはは!じゃあいつまでも邪魔しちゃ悪いし...うふふ、ごゆっくり!」
そう、今夜が勝負なのだ。
今夜こそ、シンタローさんの純潔頂くっすよ!(ガッツポーズ)
***
「...何なんだ、あいつら。ったく...」
「...シンタローさんっ...」
堪らず俺は後ろからシンタローさんを抱き締め、首筋に顔を埋めた。
「ちょっ...ここ、廊下...!やめ...」
「いいじゃないっすか、2人きりなんだし。シンタローさんだって、今日ずっとムラムラしてた癖に...」
シャツの中に手を滑らせると、シンタローさんは甘い声と吐息を漏らしていく。
「ふっ、あっ...やっ...セトぉっ...!」
そして俺は桜色の飾りを弄び始めシンタローさんは淫らに喘ぎ「...セト?聞いてんのか?」
「はい!ご馳走さまです!」
途端に現実に引き戻された。
俺としたことが、シンタローさんと一緒に居るのにこんな妄想...!
ぶっちゃけシンタローさんと俺は全く進展して居ない。
手を繋ぐ事も拒否られ、キスも拒否されている。
むしろ触れる事すら叶わない...。
一応言っておきますが、恋人っすからね?
なんて事を考えていると、あれ?何やら良い匂いがする。
「え、お前食ってきたの?」
テーブルにはいつの間にか沢山の料理が並べられていた。
そういえばもう夕飯ですね!
「えっ、わぁっ...!す、凄いご馳走じゃないっすか!これ、シンタローさんが作ったんすか!?」
唐揚げやらハンバーグやら...子供が好きそうなものばかりだ。
わくわくするっす!
「んなわけ無いだろ?母さんが作ったやつ温めただけだよ」
そう言ってシンタローさんはやまもりにしたご飯の丼を差し出す。
ちょ、ちょっと盛りすぎやしませんか?
いただきますをして、食べ進めていく。
さすがお母様、どれも美味しいっす。
シンタローさんは元から食が細いのかあまりがっつかない。
「へへ、でも嬉しいっす。シンタローさんがこうしてご飯を用意してくれてるなんて...まるで、夫婦みたいな...」
「馬鹿じゃねえの?」
...あっさり切られた。
はい、ごめんなさい...。