Dream

□ギャップ
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文則様の女官であり恋人の私が、あろうことか風邪を引いてしまった。
今は文則様の邸で休ませていただいている。

そろそろ昼食を作らねば。私は朦朧とする意識の中、熱を帯びて思うように動かない体を無理矢理起こそうとした。

「春姫、何をやっている。回復するまでは安静にしていろと言ったはずだ。」
「しかし、文則様の昼食を作らないと…」
「今は私よりも自分の身体を案じよ。私と春姫の昼食は私が作る故、心配せずともよい。」
「文則様は、料理は出来るのですか…?」
「ああ、昔母に教わったからな。簡単な物しか作れないが。とにかく今はしっかりと水分補給をし、十分に睡眠を取ることに専念せよ。きっと、春姫はいつも忙しかった故、疲れが溜まっていたのであろう。今はゆっくり休め。」

そう言うと、文則様は、額に濡れた布を乗せ、茶を側に置いてくださった。そして、私の掛け布団を掛け直してくださった。

彼の心遣いに私の胸はときめいた。
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