短編

□学パロ⓪〜出会い〜
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大掃除が終わり、委員会を決める時間になった


「委員会を決める
委員会を黒板に書いていくからなりたい委員会を決めておけ」

蒼世の声で一斉にざわつき始めたクラス

「兵助は何にする?」

「去年と一緒の美化委員会」

「俺はどうしようかなー」

「勘ちゃんは生徒会だから必然的にないのだ」

「そうだったねー」

勘右衛門が兵助の席に来てのんびり話している
兵助はちらりと後ろの席を見る


「なに、兵助ってば珍しく転校生に興味出た感じ?」

「まさか」

勘右衛門に図星を突かれたがあいかわらずの無表情で乗り切る

「きまったやつから黒板に名前を書いていけ」

真っ先に書いたのは竹谷だった

「あー、やっぱ竹谷は安定の生物か」

「俺も書いてくる」

兵助も席を立ち名前を書く

兵助が席に戻ると同時に空丸が席を立ち名前を書いた

「(生物委員会……)」

次に雷蔵が黒板に書いていく






「よし、全員書いたな……
空丸、これを紙に書け」

「先生、俺来たばかりですよ?」

「別にいいだろう、名前を覚えるチャンスだ」

無理矢理紙を渡されしぶしぶ書いていく空丸



「時間が余ったから自己紹介するか。
一番から自己紹介していけ」

蒼世がそういうといちばんが席を立って自己紹介を始めた


「俺さっきしたのに……」

ぽつりとつぶやいた空丸のつぶやきは自己紹介の声に消されていった


「尾浜勘右衛門、好きなものはおかしでーす!」

尾浜があいさつを終える



「久々知兵助、好きなものは豆腐」

「さっきも自己紹介したけど曇空丸、好きなものは…ないけど得意料理は揚げだし豆腐です」

空丸が得意料理を口にした瞬間兵助が勢いよく振り向いた

「!?」

空丸は一瞬驚くがすぐに我に返り席に座った

「えっと?」

「揚げだし豆腐、今度作ってくれ」

「いいけど……?」

空丸が首を縦に振れば兵助は目をキラキラさせて空丸を見た

「これから友達なのだ!!」

「え、お、おう」

いきなり友達宣言されて戸惑うが内心嬉しくてしょうがない空丸


結局最後まで自己紹介をほとんど聞かず、兵助とずっと話していた空丸



「空兄ぃぃぃぃぃぃ!!!」



突然廊下から大きな声が聞こえてきた

「おい」

「す、すいません!!」

空丸は慌てて廊下に出ると何やら誰かと話していた


「空兄、早く帰るッス!!」

「まだ終わってねぇからもう少し待ってろよ!」

「えー!!」

「とりあえず、だまって廊下に立ってろ!!」

空丸は軽く疲れた表情で教室に戻ってきた


「……今日はこれで終わりにする」

「き、起立!!礼!!」


あいさつが終わると急いで外に出る空丸

「空兄、今日はどっかいくんスか!?」

「買い物だけだぞ?」

「オイラもいくッス!!」

そういって宙太郎は走り出す
それを空丸は追いかける




その背中を兵助はそっと見ていた































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