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□一緒に居れる時間はどのくらいなんだろう
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毎日毎日よく鳴くセミの鳴き声にももう、慣れてしまった。夏は嫌いだ。

「あっちい…」
「ほんとに」
「……じゃあ離れて」

暑いなら離れればいいのに。こんな夏真っ只中、シングルベッドに男2人が抱き合いながら(正確にはニノが抱きついてきている)寝転んでいるなんてある意味怪奇だ。
クーラーをつけているものの、さすがにこれは暑い。お互いそう思っている(はず)なのに離れようともしないのも可笑しいのだが。

「潤くん」
「なに?」
「…なんでもない」

ふふっと笑って俺の首もとに顔をすりつける。暑いのによくこんなにも近づけるな、と思いつつもいつもはこんなに甘えてこないのに、珍しいな、なんて嬉しく思っている自分がいて。時が止まればって馬鹿みたいなことを思ってしまって。

「時が止まればいいのに」

彼はそう、呟いた。小さくてか細い声だけど確かに聞こえた。

「…そうだね」

貴方と一緒に居れる時間が何よりも大切で、たまらなくて、もう壊れてしまうことを考えるだけで胸がどうしようもなく苦しくて。
こんなにも誰かを好きになったことがないからこそ不安で不安で仕方なくて、でもすごくすごく幸せで。

「俺、もうニノから離れられないや」
「ふふっ、なに?急に。…俺だって離れられないよ」

胸がきゅーっと締まった気がした。ああ、今キスしたい、すっごくすっごくキスしたい。激しいキスじゃなくて、優しいキスをして、この幸せを確かめあいたい。

「潤くん」
「ん?」

唇が優しく触れた。いつもよりうんと長く、でもいつもよりうんと優しく心地よいキス。離れたくない、ずっとずっとこうしていたい。
好きをもっと簡単に表現出来ればいいのにどうしてこうも難しいのだろう。こんなにも、好きなのに。

唇が離れて、ニノは俺を見つめふふっ、と笑った。
初めて夏が好きと思えた瞬間だった。


お互い好きすぎてたまらない末っ子さん。今回は潤くん目線で。
オチが……

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