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□貴方にずっと伝えることが出来なかったね
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ふと思う
君がどこかに行ってしまうんじゃないかなって。

「ニノ……」

これは、夢?現実?
よく分からない狭間に俺は居た。
頭がクラクラする、どこなんだろう、此処は。
目の前は真っ暗で何も見えないし、何もない。
歩き出そうと体を動かすが、何故か体が動かない。
それに息苦しい、夢なら早く覚めてくれ。

「潤くん」

ほのかに聞こえてきたのは聞き覚えのある優しくて少し高めの声。
愛しい人の声。

「ニノ…いるの?」

何故だろう、貴方は居るのに不安な気持ちが消えないのは。
貴方がいつの間にか消えてしまいそうで、そんな理由もない想いが消えない。

「潤くん、大好きだよ」
「ニノどうしたの、俺もニノのこと……」

ここで好きと言ってしまうと貴方が本当に消えてしまう気がして。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
俺の前から消えないで、居なくならないで、ずっとそばにいて。

「ニノ、居なくならないで、ニノ…ニノっ……」

なんで泣いているんだろう。
あぁ、そうだ。俺はいつも自分の想いを抑えていたんだ、貴方に迷惑をかけたくなくて、嫌われたくなくて、ずっとそばにいて欲しいのに伝えることができずに溜め込んでいたんだ。
今日くらい、いいよね。貴方に伝えても。



「潤くん?」
次ははっきりと聞こえた、愛しい人の声。
ハッと目が覚めて、目の前にはニノがきょとんとした顔で俺を見つめている。
何が起こったのか分からなくて体を起こすと、急に抱き締められた。

「潤くん、ごめんね」
「、ニノ?どうしたの?」
「俺は居なくならないよ。俺には潤くんしか居ない」
「っニノ、ねえ、…どうしたの?っ急に…っ」

涙が止まらなかった。きっとずっと、こうしてほしかった、貴方に必要とされているか不安で不安で仕方なくて。
抱きしめている腕がもっと俺を締め付ける。もう、離れたくない、離れられない。
俺も同じようにニノを抱きしめた。きっと涙で顔、ぐちゃぐちゃなんだろうなあ。なんてのんきな事を考えながら今ある幸せに溺れていた。



潤くんの寝言で和也くんが潤くんの想いに気づく……的な。
私、末っ子の儚い感じが好きなんです(笑)

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