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□これからも乗り越えていこうよ
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「ただいま」

やけに声が響いた
そしてなぜか、電気が点いていない
いつもならすぐに″おかえり″って潤くんのふにゃふにゃした声と笑顔が迎えてくれるのに

「潤くん?いないの?」

部屋のあかりをつけ、辺りを見渡した。が、潤くんの姿は見つからない
おかしいな、どこかに出掛けるときは毎回連絡くれるのに
少し……いや、かなり心配になって何をしたらいいか頭が回らなかったが、手元にあった携帯でまずは電話をかけた
すると数秒後、隣の部屋から聞こえてきたのは俺のソロ曲、秘密だった
潤くんは俺からの着信音を秘密にしている
若くて可愛いニノの声が大好きなんだって、恥ずかしいのにやめてくれなかったのを覚えている

「潤くん?いるの?」

いつもより柔らかい声で隣の部屋に呼び掛けてみると、潤くんらしき人の泣き声が聞こえてきた

「…っふ、ぐすっ、」

何があったのか心配になってとっさにドアを開けると、案の定潤くんがいた
顔は涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃで、目は充血しているし腫れぼったい
一体いつまで泣いていたんだ

「潤くん?どうし……」
「いやっ……」

触れようとした手は拒否された
全然内容が理解できない
何がなんだか分からないが、とりあえず離れて尋ねてみる

「潤くん?どうした?俺、なにかしたかな?」

そう聞くと、潤くんはもっと泣き出した
声をあげてわんわんわんわんと子供の様に
余計に何がなんだか分からなくなってきた
すると潤くんがしゃっくりを上げながらも口を開いた

「んっふ、にっ、にのっんぐがっ……おんなのひととっ、うわきしてったっ、」

浮気……?見に覚えが全くなかった

「俺、浮気なんかしてないよ?」
「うっ、そだぁ、だって綺麗なおねえさんと、っ、あるいてたもん……っ」

……それは見に覚えがある。でもあれは違う、ただのドラマの打ち合わせだ

「潤くん、あれ、ただのドラマの打ち合わせだよ?」
「……へ?」
「というか、俺が潤くん以外の人興味ないの、潤くんが一番知ってるでしょ?」

触れようとした手は拒否されなかった
頭を撫でると潤くんはもっと泣き出した
きっと泣きすぎて、子供になっているのだろう

「好きだよ、潤くん」

抱きしめた潤くんは、俺の服をこれでもかという程に強く握った

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