短編小説
□どきどき☆初デート!
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「これで今日の部活動を終わります。お疲れ様でした」
弥生の声にお疲れ様でしたーと口々に続く。いつも通り、奈津と拓磨が仲良く話しながら放送室を出て行く。
「お疲れ様ー」
パタンとドアが閉まる。
放送室に残っている2人はゆっくりと顔を見合わせた。
「今日のなっちゃん、いやにテンション高かったわよね」
ひそひそと、弥生は行麿に顔を寄せる。
「僕、教室で彼女と友達が話してるの聞いちゃったんですよ」
行麿も、誰もいないはずの部屋を見回しながら声のトーンを下げる。
「今週の日曜日、2人で遊園地行くらしいんです」
弥生は少し目を大きくした後、行麿に微笑みかける。
「行麿くん。今週末、暇よね?」
「いやあ、残念だなあ、ちょっと外せない用事が……」
「暇、よね?」
「いや、あの、はい」
行麿は、ニコニコしながら、和樹さんより弥生先輩に逆らうほうが厄介だよなあ、と口の中で呟いた。