なついろ 2

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「皆さん、お疲れ様です。秋祭りは大成功だったね。反省会兼行麿くん歓迎会を行います」

 弥生先輩が大量のコンビニのお菓子をパーティー開きしながら、高々と宣言した。この辺にはコンビニはないはずなのに、一体どうしたんだろう。
 弥生先輩のアナウンスで秋祭りが終了した後、片付けを軽く手伝って、私たちは例の旅館へと足を運んだ。人の良さそうな女将さんに案内され、男女2人ずつの2部屋に分かれた。食事と入浴を済ませた頃に、女子部屋に集合。

「じゃあ、反省会ね。特に問題はなかったですね。忙しかった行麿くんの分も上手くカバーできたし」

 彼女は、開き終わったポテトチップをつまみながら、にっこり笑った。
 上手くカバーできた? ほとんど私が働いていた気がするんだけど。
 じろっと行麿を横目で見ながら、近くのクッキーを口に含む。彼は私に気づいて、曖昧な笑顔を向けてきた。
 そんな私の不満にはおそらく気づいていない弥生先輩が、あっさりと反省会を終了させる。

「じゃあ、そんな感じで、次は歓迎会。行麿くん、入部ありがとう!」

 彼女の言葉に、行麿はコロッと表情を変え、満面の笑みを2人の先輩に向けた。
 つくづく調子のいいやつだ。クッキーを頬張る。
 上手くできるか心配ですけど一生懸命頑張ります、とかなんとかテンプレートを述べた彼に、拍手が送られる。
 弥生先輩がさらに会を進行する。

「さて、歓迎会といえば、あれですよね」

 人差し指を立てて、とてもキラキラした笑みを浮かべている彼女から次の言葉が出てくるとは、きっと誰も思いもしなかっただろう。まあ、聞き手は3人しかいないけど。

「王様ゲームですよね!」

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