なついろ 2

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「お待たせいたしました。これより、秋祭りステージ発表を開演します。今年の進行は、鶴ノ亀高校放送部が担当いたします。どうぞ、よろしくお願い申し上げます」

 弥生先輩の綺麗なアナウンスで、秋祭りは開幕した。
 時間を4ブロックに分けて、弥生先輩、行麿、拓磨先輩、私の順に行うことになっている。ちなみに、これは、弥生先輩が適当に思いついた順だ。
 私はこれから長時間暇なので、集会所を抜け出し、出店を見て回る。

「そこのお姉ちゃん、村名物の饅頭はいかがかね? 食べるだけでべっぴんさんになれるよー」
「いらっしゃい! くじ引き、1回100円。今なら外れくじ無しだよ!」
「金魚すくいでーす! サービスするよ!」

 この村の平均年齢はかなり高いはずなんだけど、かなり活気に溢れている。そういえば、ステージ発表の台本にも、平均年齢70歳のバンドが激しい曲やるって書いてあったな。

 一周したところで何となく暇になり、弥生先輩のもとへ遊びに行ってみた。

「先輩、どうですか」
「なっちゃん! ちょうど良かった!」

 帽子の中から国旗やら鳩やらを出しているおじいさんのいるステージの袖で、弥生先輩は私にすがりついた。

「もうすぐ行麿くんの出番なんだけど、来ないの。ちょっと、呼んできてくれる?」



 

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