なついろ 2

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「うわー! 自然豊かなところですね!」

 1日に2本しか出ないというバスの始発に乗り、揺られること一時間。私たち4人は、田んぼと畑と山しかないようなところで、バスから降りた。弥生先輩の案内で集会所というステージ発表の場所へと向かう。

「自然豊かって、えらいポジティブに捉えたね」
「行麿だったら、どう捉えるの」
「ど田舎」

 先輩たちの後ろを、1年生2人で並んで歩く。相変わらず辛口な彼を笑って流しておく。

「でも、このお祭り、結構毎年人来てるいるらしいよ」
「へえ、そうなんだ」
「どうしてか知ってる?」
「知らない」

 歩くスピードを落として、先輩たちと距離を広げる。ニヤリと声を低くした。

「この秋祭りで告白すると、絶対成功するんだって」

 囁くような私の声は、前の2人には聞こえていない。
 彼は、鼻で笑った。

「バスの中で拓磨先輩も言ってたよ、それ。人集めたいだけでしょ」
「違うよ! ちゃんと体験談もネットにいっぱい載ってたし」
「はいはい。で、するの?」
「え?」
「拓磨先輩に、だろ」

 前方に視線をやる。
 弥生先輩と何か楽しそうに話している横顔。
 独り占め出来ればどんなに良いことかと思うけれど……

「今はまだやめとく」
「消極的だね。せっかくのチャンスなのに」
「まだ時は来ない!」

 ざわざわと木の葉が風に揺れる。
 本当は、勇気がでないだけ。

「まあ、いいんじゃない」

 彼は薄く笑って、歩くスピードを速めた。

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