なついろ 2

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「みなさん──と言っても2人だけれど、今から臨時の放送部のミーティングを始めます」

 放送室に置かれている1m四方のテーブルを3人の人間が囲んでいる。
 私の前に座っている部長の弥生先輩が、ニコニコと言葉を続けた。

「というのも、とても嬉しい知らせがあるんです」
「うーん。弥生の感覚はちょっとずれてるからな。この間は放送室で蜘蛛を見つけて喜んでたし」

 わたしの左側の辺に座っている拓磨先輩が、ニヤニヤとからかうように弥生先輩に視線を送る。
 弥生先輩は、コホンと咳払いをした。

「これは誰が考えても嬉しいことです。例えるなら、月食と日食が一緒に来たくらい嬉しいことよ」
「へえ、それはすごいな!」

 月食と日食って、一緒に来られるものなのかな。
 それはともかく、私は先輩の言っている嬉しいことの正体がわかる。

「拓磨先輩、本当に嬉しいことですよ」
「えー、奈津、わかってるのかよ。知らないの、俺だけ?
 なあ、部長、もったいぶらずに教えてくれよ」
「ふふっ。じゃあ、入って来て!」

 弥生先輩が放送室のドアに声をかける。
 カチャッとドアが内側に開く。
 一人の生徒が入ってくる。
 彼は、得意の作ったような笑顔で、こちらに挨拶をした。

「失礼します。1年2組、小石川行麿です。今日から放送部に入ることになりました。よろしくお願いします」

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